導師導古典を学びたいすべての人に

五常訓 / 巻之四・礼

一飮食と、男女と、財寶とは、人の大欲の生ずる處なり。故におよそ人の過惡の出來るは、多くは此三よりおこる。心の好むに打任せては危し。道理にそむき、わざはひ生ずる本なり。此三をこのむは人情にして、無くんばあるべからず。されど禮を以て節せざれば、これを用ふる理を失ひて、必大慾生じ、惡にながる。故に禮なければ、人道不立して、禽獸の行に同じ。

新字:一飲食と、男女と、財宝とは、人の大欲の生ずる処なり。故におよそ人の過悪の出来るは、多くは此三よりおこる。心の好むに打任せては危し。道理にそむき、わざはひ生ずる本なり。此三をこのむは人情にして、無くんばあるべからず。されど礼を以て節せざれば、これを用ふる理を失ひて、必大慾生じ、悪にながる。故に礼なければ、人道不立して、禽獣の行に同じ。

書き下し

一飲食と、男女と、財宝とは、人の大欲の生ずる処なり。故におよそ人の過悪の出来るは、多くは此三よりおこる。心の好むに打任せては危し。道理にそむき、わざはひ生ずる本なり。此三をこのむは人情にして、無くんばあるべからず。されど礼を以て節せざれば、これを用ふる理を失ひて、必大慾生じ、悪にながる。故に礼なければ、人道不立して、禽獣の行に同じ。

現代語訳

飲食と男女と財宝とは、人の大欲の生じるところです。ゆえに、およそ人の過ちや悪が起こるのは、多くはこの三つから起こります。心の好むのに任せては危ういのです。道理にそむき、禍の生じる本です。この三つを好むのは人情であって、なくすことはできません。けれども礼によって節度づけなければ、これを用いる理を失って、必ず大欲が生じ、悪に流れます。ゆえに礼がなければ、人の道は立たず、禽獣の行いと同じです。

解説

飲食・男女・財宝の三つが人の大きな欲の源で、過ちや悪の多くはここから起こると述べています。これは『礼記』礼運篇の「飲食男女は人の大欲存す」にもとづきます。三つを好むのは人情でなくすことはできないが、礼で節度を与えなければ必ず悪に流れるという、欲を否定せずに整えるという儒学らしい現実的な立場です。食べすぎ、異性関係、お金をめぐる失敗は、今も人生を狂わせる大きな原因です。欲の扱い方を学ぶことは、生涯にわたる課題といえます。

この章句が説くこと

欲礼飲食財節度

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る