五常訓 / 巻之四・礼
一人に血氣あり。身に耳目口體の欲あり。心に、喜怒哀樂の情あり。もし禮を以てこれを節せざれば、人欲にしたがひ、天理をうしなひて、人事亂れ、人道すたる。ここを以て、聖人禮を以て敎とし、彼の血氣よりおこる情欲をふせぎたまふ。
新字:一人に血気あり。身に耳目口体の欲あり。心に、喜怒哀楽の情あり。もし礼を以てこれを節せざれば、人欲にしたがひ、天理をうしなひて、人事乱れ、人道すたる。ここを以て、聖人礼を以て教とし、彼の血気よりおこる情欲をふせぎたまふ。
書き下し
一人に血気あり。身に耳目口体の欲あり。心に、喜怒哀楽の情あり。もし礼を以てこれを節せざれば、人欲にしたがひ、天理をうしなひて、人事乱れ、人道すたる。ここを以て、聖人礼を以て教とし、彼の血気よりおこる情欲をふせぎたまふ。
現代語訳
人には血気があります。身には耳・目・口・体の欲があります。心には喜怒哀楽の情があります。もし礼によってこれを節度づけなければ、人欲にしたがい、天理を失って、人の事は乱れ、人の道はすたれます。それゆえ聖人は礼をもって教えとし、あの血気から起こる情欲を防がれました。
解説
人には血気、身体の欲、喜怒哀楽の感情があり、礼によって節度を与えなければ欲に流されて人の道がすたれるので、聖人は礼を教えの中心にしたと述べています。情欲を否定するのではなく、礼によって程よく整えるという考え方は儒学の特色です。益軒は『養生訓』でも、欲や感情を抑えて程よくすることが健康の秘訣だと説きました。怒りや欲望をうまく扱うための習慣や決まりを持つことは、心身の健康を保つうえでも役立つ知恵です。
この章句が説くこと
礼情欲血気養生教え
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