五常訓 / 巻之四・礼
故に、取守しがたし。禮は理の品節文章とて、人のわざに品々あり、よき程ありて、其理あらはれ見え、形をなして實なり、故に取守るべし。是を以ての故に、禮といひて、理といひ給はず。釋名曰、禮は體也、言得事之體也。此意は、體とはかたち也。禮は心に本づけども、あらはるゝ所は、事の上に見えたる形を云ふ。人の行儀作法の正しく、三千三百のわざにあらはれて、法の正しきが禮なり。是皆かたちありて、目に見ゆる所なれば、體なりと云ふ。事にあらはれずして、形なくんば禮にあらず。しかれども又形の上にかゝはりて、心上に誠敬なくば、文のみにて本なし、禮にあらず。唯敬を本として、外に行ふに文あるは禮なり。
新字:故に、取守しがたし。礼は理の品節文章とて、人のわざに品々あり、よき程ありて、其理あらはれ見え、形をなして実なり、故に取守るべし。是を以ての故に、礼といひて、理といひ給はず。釈名曰、礼は体也、言得事之体也。此意は、体とはかたち也。礼は心に本づけども、あらはるゝ所は、事の上に見えたる形を云ふ。人の行儀作法の正しく、三千三百のわざにあらはれて、法の正しきが礼なり。是皆かたちありて、目に見ゆる所なれば、体なりと云ふ。事にあらはれずして、形なくんば礼にあらず。しかれども又形の上にかゝはりて、心上に誠敬なくば、文のみにて本なし、礼にあらず。唯敬を本として、外に行ふに文あるは礼なり。
書き下し
故に、取守しがたし。礼は理の品節文章とて、人のわざに品々あり、よき程ありて、其理あらはれ見え、形をなして実なり、故に取守るべし。是を以ての故に、礼といひて、理といひ給はず。釈名曰く、礼は体なり、事の体を得るを言ふなり。此意は、体とはかたち也。礼は心に本づけども、あらはるる所は、事の上に見えたる形を云ふ。人の行儀作法の正しく、三千三百のわざにあらはれて、法の正しきが礼なり。是皆かたちありて、目に見ゆる所なれば、体なりと云ふ。事にあらはれずして、形なくんば礼にあらず。しかれども又形の上にかかはりて、心上に誠敬なくば、文のみにて本なし、礼にあらず。唯敬を本として、外に行ふに文あるは礼なり。
現代語訳
ゆえに取り守りにくいのです。礼は理の品節文章といって、人のしわざに種々の段階があり、ちょうどよい程があって、その理が現れて見え、形をなして実であるので、取り守ることができます。このために、礼といって理とはおっしゃらなかったのです。『釈名』に「礼は体である。事の体を得ることをいう」とあります。この意味は、体とは形です。礼は心にもとづくけれども、現れるところは事の上に見える形をいいます。人の行儀作法が正しく、三千三百のしわざに現れて、法の正しいのが礼です。これはみな形があって目に見えるところなので、体であるといいます。事に現れずに形がなければ、礼ではありません。けれどもまた、形の上にばかりかかわって、心に誠と敬がなければ、文だけで本がなく、礼ではありません。ただ敬を本として、外に行うのに文があるのが礼です。
解説
この章句が説くこと
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