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五常訓 / 巻之二・仁之上

仁の性にしたがへば、五倫を愛する道自ら行はる。中庸に、性にしたがふを道と云ふ、是なり。仁は性なり。五倫を愛するは道なり。天地より生れつきたる仁の性にしたがひて、五倫の道を行ふが、天地につかへ奉る孝にて、人の道なり。是卽仁なり。人の道とする所、さらに此外に有るべからず。次に禽獸草木を愛するも、亦仁の内の事なり。天地は萬物の父母なれば、人倫を愛し、次に萬物を愛するも、亦天地につかふる道なり。

新字:仁の性にしたがへば、五倫を愛する道自ら行はる。中庸に、性にしたがふを道と云ふ、是なり。仁は性なり。五倫を愛するは道なり。天地より生れつきたる仁の性にしたがひて、五倫の道を行ふが、天地につかへ奉る孝にて、人の道なり。是即仁なり。人の道とする所、さらに此外に有るべからず。次に禽獣草木を愛するも、亦仁の内の事なり。天地は万物の父母なれば、人倫を愛し、次に万物を愛するも、亦天地につかふる道なり。

書き下し

仁の性にしたがへば、五倫を愛する道自ら行はる。中庸に、性にしたがふを道と云ふ、是なり。仁は性なり。五倫を愛するは道なり。天地より生れつきたる仁の性にしたがひて、五倫の道を行ふが、天地につかへ奉る孝にて、人の道なり。是即仁なり。人の道とする所、さらに此外に有るべからず。次に禽獣草木を愛するも、亦仁の内の事なり。天地は万物の父母なれば、人倫を愛し、次に万物を愛するも、亦天地につかふる道なり。

現代語訳

仁の性にしたがえば、五倫を愛する道はおのずから行われます。『中庸』に「性にしたがうのを道という」とあるのはこのことです。仁は性です。五倫を愛するのは道です。天地から生まれつき受けた仁の性にしたがって、五倫の道を行うのが、天地にお仕えする孝であって、人の道です。これがすなわち仁です。人の道とするところは、さらにこのほかにあるはずがありません。次に禽獣や草木を愛するのも、また仁の内のことです。天地は万物の父母であるから、人々を愛し、次に万物を愛するのも、また天地に仕える道です。

解説

『中庸』の「性に率ふ之を道と謂ふ」を引き、仁という性にしたがって五倫を愛することが、天地に対する孝であり人の道だとまとめています。天地を父母とみれば、天地に仕えることは孝であり、仁と孝は一つにつながります。さらに人を愛したうえで禽獣や草木まで愛することも仁に含まれると説きます。人間関係を大切にし、そのうえで動植物や自然を大切にするという順序ある愛は、家庭の教育や環境への配慮を考えるうえでも一つの指針になるでしょう。

この章句が説くこと

仁孝五倫中庸万物

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