導師導古典を学びたいすべての人に

五常訓 / 巻之一・総論

一天の生理四時に行はる。其中につきて、取わき元を始として、亨利貞を統ぶ。此故に、春生の元氣を以て、四時をつらぬく。其次第は、四にわかるれども、理は一なり。人の心の生理も、仁を始として、義禮智をつらぬくこと、天の元氣の、春を始として、四時をつらぬくが如し。これによりて、仁の一字は四德をかねたり。孔子の、もはら仁の一字を說き給へるは、此故なるべし。

新字:一天の生理四時に行はる。其中につきて、取わき元を始として、亨利貞を統ぶ。此故に、春生の元気を以て、四時をつらぬく。其次第は、四にわかるれども、理は一なり。人の心の生理も、仁を始として、義礼智をつらぬくこと、天の元気の、春を始として、四時をつらぬくが如し。これによりて、仁の一字は四徳をかねたり。孔子の、もはら仁の一字を説き給へるは、此故なるべし。

書き下し

一天の生理四時に行はる。其中につきて、取わき元を始として、亨利貞を統ぶ。此故に、春生の元気を以て、四時をつらぬく。其次第は、四にわかるれども、理は一なり。人の心の生理も、仁を始として、義礼智をつらぬくこと、天の元気の、春を始として、四時をつらぬくが如し。これによりて、仁の一字は四徳をかねたり。孔子の、もはら仁の一字を説き給へるは、此故なるべし。

現代語訳

天の生きる理は四季に行われます。その中で、とりわけ元を始めとして、亨・利・貞をすべます。このゆえに、春の生ずる元気によって四季をつらぬきます。その順序は四つに分かれますが、理は一つです。人の心の生きる理も、仁を始めとして義礼智をつらぬくことは、天の元気が春を始めとして四季をつらぬくようなものです。これによって、仁の一字は四徳をかねています。孔子がもっぱら仁の一字を説かれたのは、このためでしょう。

解説

天の元が四季をつらぬくように、人の仁が義礼智をつらぬくと述べ、孔子が仁を中心に説いた理由を説明しています。朱子は『仁説』で、仁が四徳をかね、元が四徳の長であることを論じており、益軒の説明はそれを平易にしたものです。春の生気が一年の成長の出発点であるように、思いやりの心がすべての徳の出発点になるという考えです。何ごとも最初の動機が全体を貫くという見方は、組織の理念や家庭の方針を考えるときにも参考になります。

この章句が説くこと

仁元四徳孔子四季

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る