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五常訓 / 巻之一・総論

一人に仁義あるは、天に陰陽あるが如し。天に陰陽なければ、造化の理ほろびて、四の時行はれず、萬物生ぜずして、天地の道立たず。人に仁義なければ、心の德ほろび、五倫の道行はれずして、人道立たず。禽獸と何ぞ異ならんや。故に易に曰、天の道を立てゝ陰と陽といふ。人の道を立てゝ、仁と義といふ。

新字:一人に仁義あるは、天に陰陽あるが如し。天に陰陽なければ、造化の理ほろびて、四の時行はれず、万物生ぜずして、天地の道立たず。人に仁義なければ、心の徳ほろび、五倫の道行はれずして、人道立たず。禽獣と何ぞ異ならんや。故に易に曰、天の道を立てゝ陰と陽といふ。人の道を立てゝ、仁と義といふ。

書き下し

一人に仁義あるは、天に陰陽あるが如し。天に陰陽なければ、造化の理ほろびて、四の時行はれず、万物生ぜずして、天地の道立たず。人に仁義なければ、心の徳ほろび、五倫の道行はれずして、人道立たず。禽獣と何ぞ異ならんや。故に易に曰、天の道を立てて陰と陽といふ。人の道を立てて、仁と義といふ。

現代語訳

人に仁義があるのは、天に陰陽があるようなものです。天に陰陽がなければ、造化の理が滅びて四季が行われず、万物は生じずに、天地の道は立ちません。人に仁義がなければ、心の徳が滅びて五倫の道が行われず、人の道は立ちません。それでは鳥や獣と何の違いがあるでしょうか。ゆえに『易』に「天の道を立てて陰と陽といい、人の道を立てて仁と義という」とあります。

解説

天にとっての陰陽と、人にとっての仁義を対にして、仁義がなければ人は人でなくなると強く述べた短い条です。引用は『易』説卦伝の「天の道を立てて陰と陽と曰ひ、地の道を立てて柔と剛と曰ひ、人の道を立てて仁と義と曰ふ」によります。益軒は禽獣との違いを繰り返し強調し、人に生まれた者の責任を説きます。思いやりと筋を通すことの両方を欠いた組織や家庭が長続きしないことは、現代でもよく実感されるところです。

この章句が説くこと

仁義陰陽人道易

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