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五行大義 / 第十九論治政

其人尖頭長腰。疾敏。尚孝。長腰。取兌。敏疾。火性。離爲日。日有烏。烏者。孝也。善則賢人任用。政頌平。駮馬。文狐至。馬。火畜。善。故來。狐亦來。失則夏霜。日是火精。失故變蝕。雨土。猝蔽光明之象。承土而王。表其首。首大。表土也。其人廣肩大足。好大笑。戲儛。廣大象土。和故逸樂也。善則甘露降。醴泉竝應其善。失則蟲蝗生。天雨而常風。霧亂。皆土氣傷。故表異也。承金而王。爲人白色。差肩耳。面方。毛也。其民白頸。長大。尚義。皆金氣也。善則大貝明珠出。外國遠貢珠貝。金之用。氣剛。能制遠人。故來貢獻。失則火飛。天鳴。地坼。河溢。山崩。邪人進。蟲獸爲災。火能剋金。金有失。故火伐之。乃飛。承水而王。爲人黑色。大耳。坎爲耳。主腎水氣。故大。其民聰耳。坎水孔穴通。故聰。善則景雲至。龜龍被文。皆水氣爲祥也。失則蟾蜍去月。民多溺死。常雨爲害。皆水之憂也。此竝明治政之道。不越五行。故以備釋。

新字:其人尖頭長腰。疾敏。尚孝。長腰。取兌。敏疾。火性。離為日。日有烏。烏者。孝也。善則賢人任用。政頌平。駮馬。文狐至。馬。火畜。善。故来。狐亦来。失則夏霜。日是火精。失故変蝕。雨土。猝蔽光明之象。承土而王。表其首。首大。表土也。其人広肩大足。好大笑。戯儛。広大象土。和故逸楽也。善則甘露降。醴泉並応其善。失則虫蝗生。天雨而常風。霧乱。皆土気傷。故表異也。承金而王。為人白色。差肩耳。面方。毛也。其民白頸。長大。尚義。皆金気也。善則大貝明珠出。外国遠貢珠貝。金之用。気剛。能制遠人。故来貢献。失則火飛。天鳴。地坼。河溢。山崩。邪人進。虫獣為災。火能剋金。金有失。故火伐之。乃飛。承水而王。為人黒色。大耳。坎為耳。主腎水気。故大。其民聰耳。坎水孔穴通。故聰。善則景雲至。亀竜被文。皆水気為祥也。失則蟾蜍去月。民多溺死。常雨為害。皆水之憂也。此並明治政之道。不越五行。故以備釈。

書き下し

その人は尖頭長腰にして、疾敏、孝を尚ぶ。長腰は兌に取る。敏疾は火の性なり。離を日と為す。日に烏有り。烏は孝なり。善なれば則ち賢人任用せられ、政頌平らかに、駮馬(はくば)・文狐至る。馬は火の畜なり。善なり、故に来たる。狐も亦来たる。失えば則ち夏に霜ふる。日は是れ火の精なり、失う故に変じて蝕す。土を雨(ふら)すは、猝(にわか)に光明を蔽うの象なり。土を承けて王たれば、その首を表す。首大なるは、土を表すなり。その人は広肩大足にして、大笑し戯儛(ぎぶ)するを好む。広大は土に象る。和なるが故に逸楽するなり。善なれば則ち甘露降り、醴泉(れいせん)並びにその善に応ず。失えば則ち虫蝗(ちゅうこう)生じ、天雨ふりて常に風ふき、霧乱る。皆土気傷つく、故に異を表すなり。金を承けて王たれば、人と為り白色、差肩(さけん)耳、面方にして、毛なり。その民は白頸(はくけい)長大にして、義を尚ぶ。皆金気なり。善なれば則ち大貝明珠出で、外国遠く珠貝を貢す。金の用は、気剛にして、能く遠人を制す、故に来たりて貢献す。失えば則ち火飛び、天鳴り、地坼(さ)け、河溢れ、山崩れ、邪人進み、虫獣災いを為す。火は能く金を剋す。金に失有り、故に火之を伐ちて、乃ち飛ぶ。水を承けて王たれば、人と為り黒色、大耳。坎を耳と為し、腎水の気を主る、故に大なり。その民は聡耳(そうじ)なり。坎水は孔穴通ず、故に聡し。善なれば則ち景雲至り、亀竜文を被る。皆水気の祥を為すなり。失えば則ち蟾蜍(せんじょ)月を去り、民多く溺死し、常雨害を為す。皆水の憂いなり。此れ並びに治政の道の五行を越えざるを明かす。故に以て備(つぶさ)に釈す。

現代語訳

(火徳の君主の)民は頭がとがり胴が長く、すばやく機敏で、孝を尊ぶ。胴が長いのは兌(八卦の一つ)に取ったものである。機敏ですばやいのは火の性である。離は日に当たり、太陽には烏がいる(とされる)。烏は(親に餌を返すので)孝の鳥である。政治がよければ、賢人が任用され、政治がたたえられて平らかになり、駮馬(まだらの馬)や模様のある狐がやって来る。馬は火に属する家畜であり、政治がよいのでやって来るのである。狐もまたやって来る。政治を誤れば、夏に霜が降りる。日は火の精であるから、誤りのために異変を起こして日食となる。土が雨のように降るのは、にわかに光明がさえぎられる象である。君主が土の徳を受けて王となれば、その頭に特徴が表れる。頭が大きいのは土を表している。その民は肩幅が広く足が大きく、大いに笑い、戯れ舞うことを好む。広く大きいのは土にかたどったもので、和やかであるから楽しみを好むのである。政治がよければ甘露が降り、醴泉(甘い泉)がともにその善に応じて湧く。政治を誤れば、虫やイナゴが生じ、雨が降っていつも風が吹き、霧が乱れる。みな土の気が損なわれたために、異変として現れるのである。君主が金の徳を受けて王となれば、その人となりは白い顔色で、肩の高さがそろわず耳(に特徴があり)、顔は四角く、毛深い。その民は首が白く背が高く大柄で、義を尊ぶ。みな金の気である。政治がよければ大きな貝や輝く真珠が出て、外国が遠くから珠や貝を貢ぎに来る。金のはたらきは、気が剛く、遠方の人を従わせることができるから、やって来て貢ぎ物を献じるのである。政治を誤れば、火が飛び、天が鳴り、地が裂け、河があふれ、山が崩れ、よこしまな人が取り立てられ、虫や獣が災いをなす。火は金に打ち勝つことができる。金に過ちがあるので、火がこれを討ち、そこで火が飛ぶのである。君主が水の徳を受けて王となれば、その人となりは黒い顔色で、耳が大きい。坎(八卦の一つ)は耳に当たり、腎という水の気を主るので、耳が大きいのである。その民は耳がさとい。坎の水は穴が通じているから、耳がさといのである。政治がよければ瑞兆の雲が現れ、亀や竜が模様を帯びて現れる。みな水の気がめでたいしるしとなったものである。政治を誤れば、蟾蜍(ひきがえる。月に住むとされた)が月から去り、民の多くが溺れ死に、長雨が害をなす。みな水の憂いである。これらはみな、政治を治める道が五行を越えないことを明らかにしている。そこで詳しく解釈したのである。

解説

前段の『録図』の続きで、火・土・金・水の徳で王となる君主とその民の姿、治世がよいときの瑞祥と、誤ったときの災異を述べて、第十九段を結ぶ。火徳なら機敏で孝を尊び、土徳なら体が大きく和やかで楽しみを好み、金徳なら色白で義を尊び、水徳なら耳が大きくさとい。瑞祥も、火には馬、土には甘露と醴泉、金には珠と貝、水には雲と亀竜と、それぞれの行に似つかわしいものが選ばれている。失政の災いについても、金の治世の過ちを火が討つとして、相剋の関係で説明するところに五行説の筋道がよく出ている。政治の善悪が天地の異変となって現れるという天人相関の思想は、前漢の董仲舒らによって体系化され、日食や地震が起これば天子が自らを省みるべきだとされた。日本でも災異を理由に改元が行われたのは、この考えの流れである。結果の良し悪しを上に立つ者の責任に結びつける発想は、今の組織の長の心得としても読める。

この章句が説くこと

五行大義瑞祥災異天人相関相剋

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