五行大義 / 第十四論雑配・第二論配声音
子產曰。章爲五聲。蔡伯喈云。通於耳者爲聲。青作角聲。白作商聲。黑作羽聲。赤作徵聲。黃作宮聲。律歷志云。角者。觸也。陽氣蠢動。萬物觸地而生也。徵者。祉也。萬物大盛蕃祉也。宮者。中也。居中央。暢四方。唱始施生。爲四聲之經。商者。章也。物成章明也。羽者。宇也。物藏聚萃。宇覆之也。樂緯云。春氣和。則角聲調。夏氣和。則徵聲調。季夏氣和。則宮聲調。秋氣和。則商聲調。冬氣和。則羽聲調。樂記曰。宮爲君。故宮亂則荒。其君驕。商爲臣。商亂則陂。其臣壞。徵爲事。徵亂則哀。其事勤。羽爲物。羽亂則危。其財匱。角爲民。角亂則憂。其民怨。五者不亂。則天下和平。無弊敗之音。素問云。木音角。在聲爲呼。火音徴。在聲爲笑。土音宮。在聲爲歌。金音商。在聲爲哭。水音羽。在聲爲呻。樂記曰。樂者。音之所由生。其本在人心之感於物。是故哀心感者。其聲噍以殺。樂心感者。其聲嘽以緩。喜心感者。其聲發以散。怒心感者。其聲粗以厲。貞心感者。其聲直以廉。愛心感者。其聲和以婉。六者。非性也。
新字:子産曰。章為五声。蔡伯喈云。通於耳者為声。青作角声。白作商声。黒作羽声。赤作徴声。黄作宮声。律歴志云。角者。触也。陽気蠢動。万物触地而生也。徴者。祉也。万物大盛蕃祉也。宮者。中也。居中央。暢四方。唱始施生。為四声之経。商者。章也。物成章明也。羽者。宇也。物蔵聚萃。宇覆之也。楽緯云。春気和。則角声調。夏気和。則徴声調。季夏気和。則宮声調。秋気和。則商声調。冬気和。則羽声調。楽記曰。宮為君。故宮乱則荒。其君驕。商為臣。商乱則陂。其臣壊。徴為事。徴乱則哀。其事勤。羽為物。羽乱則危。其財匱。角為民。角乱則憂。其民怨。五者不乱。則天下和平。無弊敗之音。素問云。木音角。在声為呼。火音徴。在声為笑。土音宮。在声為歌。金音商。在声為哭。水音羽。在声為呻。楽記曰。楽者。音之所由生。其本在人心之感於物。是故哀心感者。其声噍以殺。楽心感者。其声嘽以緩。喜心感者。其声発以散。怒心感者。其声粗以厲。貞心感者。其声直以廉。愛心感者。其声和以婉。六者。非性也。
書き下し
子産曰く、章(あら)われて五声と為る、と。蔡伯喈云う、耳に通ずる者を声と為す、と。青は角声を作し、白は商声を作し、黒は羽声を作し、赤は徴声を作し、黄は宮声を作す。律歴志に云う、角とは触なり。陽気蠢動(しゅんどう)し、万物地に触れて生ずるなり。徴(ち)とは祉なり。万物大いに盛んにして蕃祉(はんし)するなり。宮とは中なり。中央に居り、四方に暢(の)び、唱始施生して、四声の経為り。商とは章なり。物成りて章明なり。羽とは宇なり。物蔵して聚萃(しゅうすい)し、之を宇覆(うふく)するなり、と。楽緯に云う、春気和すれば、則ち角声調い、夏気和すれば、則ち徴声調い、季夏の気和すれば、則ち宮声調い、秋気和すれば、則ち商声調い、冬気和すれば、則ち羽声調う、と。楽記に曰く、宮は君為り。故に宮乱るれば則ち荒(すさ)み、其の君驕る。商は臣為り。商乱るれば則ち陂(かたむ)き、其の臣壊る。徴は事為り。徴乱るれば則ち哀しみ、其の事勤む。羽は物為り。羽乱るれば則ち危うく、其の財匱(とぼ)し。角は民為り。角乱るれば則ち憂え、其の民怨む。五者乱れざれば、則ち天下和平にして、弊敗の音無し、と。素問に云う、木は音角、声に在りては呼と為す。火は音徴、声に在りては笑と為す。土は音宮、声に在りては歌と為す。金は音商、声に在りては哭と為す。水は音羽、声に在りては呻と為す、と。楽記に曰く、楽とは、音の由りて生ずる所なり。其の本は人心の物に感ずるに在り。是の故に哀心感ずる者は、其の声噍(しょう)にして以て殺(さい)す。楽心感ずる者は、其の声嘽(せん)にして以て緩やかなり。喜心感ずる者は、其の声発して以て散ず。怒心感ずる者は、其の声粗にして以て厲(はげ)し。貞心感ずる者は、其の声直にして以て廉なり。愛心感ずる者は、其の声和して以て婉なり。六者は、性に非ざるなり。
現代語訳
子産は「(五行の気が)あらわれて五つの声となる」と言っている。蔡伯喈は「耳に通じるものを声とする」と言う。青は角の声を、白は商の声を、黒は羽の声を、赤は徴の声を、黄は宮の声をなす。『漢書』律暦志には次のようにある。「角とは触れることである。陽の気がうごめき、万物が地に触れて生まれ出るのである。徴とは福のことである。万物が大いに盛んになり、殖えて福を得るのである。宮とは中のことである。中央にいて四方にのび広がり、先に唱えて生命を施し、ほかの四つの声の大本となる。商とは章(あきらか)のことである。物ができあがって明らかになるのである。羽とは宇(屋根)のことである。物がしまい込まれて集まり、それを屋根のように覆うのである」。『楽緯』(音楽についての緯書)には「春の気が和らいでいれば角の声が整い、夏の気が和らいでいれば徴の声が整い、夏の終わりの気が和らいでいれば宮の声が整い、秋の気が和らいでいれば商の声が整い、冬の気が和らいでいれば羽の声が整う」とある。『礼記』楽記には次のようにある。「宮は君である。だから宮が乱れれば音はすさみ、その君はおごっている。商は臣である。商が乱れれば音は傾き、その臣は崩れている。徴は事である。徴が乱れれば音は哀しげで、その事業は苦労が多い。羽は物である。羽が乱れれば音は危うく、その財は乏しい。角は民である。角が乱れれば音は憂わしげで、その民は怨んでいる。五つが乱れなければ、天下は和やかに治まって、崩れた音はない」。『素問』には次のようにある。「木は音では角、声では呼ぶ声である。火は音では徴、声では笑う声である。土は音では宮、声では歌う声である。金は音では商、声では泣く声である。水は音では羽、声ではうめく声である」。楽記には次のようにある。「音楽とは、音がそこから生まれてくるものである。その本は、人の心が物に感じることにある。だから悲しみの心が感じると、その声はせわしくかすれる。楽しみの心が感じると、その声はのびやかでゆるやかである。喜びの心が感じると、その声は発して広がる。怒りの心が感じると、その声は荒々しく激しい。敬う心が感じると、その声はまっすぐで折り目正しい。愛する心が感じると、その声は和やかでやわらかい。この六つは、生まれつきの性ではない。
解説
この章句が説くこと
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