言志四録 / 言志耋録 第三百二十七条 恢豁の観を為す
老人宜臨流水。仰遠山。以爲恢豁觀。眞是養生。尙或怯風寒。常擁被在室。則似養非養。
新字:老人宜臨流水。仰遠山。以為恢豁観。真是養生。尚或怯風寒。常擁被在室。則似養非養。
書き下し
老人は宜しく流水に臨み、遠山を仰ぎ、以て恢豁の観を為すべし。真に是れ養生なり。尚ほ或は風寒を怯れて、常に被を擁して室に在らば、則ち養に似て養に非ず。
現代語訳
老人は流れる水のほとりに立ち、遠くの山を仰ぎ見て、心を広々とさせる眺めを持つのがよい。これこそ本当の養生である。もし風や寒さを恐れて、いつも夜着にくるまって部屋に籠もっていたなら、それは養生に似て実は養生ではない。
解説
外に出て流れる水を見、遠い山を仰いで心を広げることこそ養生だという一条です。恢豁とは心が広々と開けていること。風邪を恐れて布団にくるまり部屋に籠もってばかりいるのは、養生に似て養生ではないと言います。一一五六条では外感を恐れて用心すると書いた一斎ですが、恐れが過ぎて閉じこもるのはかえって心身を損なうという釣り合いの感覚がここにあります。『論語』の「知者は水を楽しみ、仁者は山を楽しむ」も思い起こされます。危険を避けることに専心するあまり、視野を狭め活力を失っていないか、守りの姿勢を見直す視点を与えてくれる条です。
この章句が説くこと
養生恢豁自然過慮
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