言志四録 / 言志耋録 第二百五十条 帝は震に出づ
帝出于震。日出之方也。故東方之人有義勇。震發之氣居多。乃可賴也。說言于兌。日沒之方也。故西方之人有智慧。兌悅之氣居多。郤可虞也。易理如是。宜致察。
新字:帝出于震。日出之方也。故東方之人有義勇。震発之気居多。乃可頼也。説言于兌。日没之方也。故西方之人有智慧。兌悦之気居多。郤可虞也。易理如是。宜致察。
書き下し
「帝は震に出づ」とは、日出の方なり。故に東方の人は義勇有り、震発の気多きに居る。乃ち頼むべきなり。「兌に説言す」とは、日没の方なり。故に西方の人は智慧有り、兌悦の気多きに居る。却って虞るべきなり。易理是の如し。宜しく察を致すべし。
現代語訳
易(説卦伝)に「帝は震に出づ」とあるのは、日の出る東の方角のことである。だから東方の人には義勇があり、震(奮い起こる)の気が多い。それゆえ頼りにできる。「兌に説言す(兌において喜び語る)」とあるのは、日の沈む西の方角のことである。だから西方の人には智慧があり、兌(喜ばせる)の気が多い。かえって警戒すべきである。易の理はこのようである。よく考察すべきである。
解説
易の説卦伝にある八卦と方角の配当を、東西の人の気質に当てはめた一条です。説卦伝では、万物を主宰する帝は東の震から出て、西の兌で喜び語るとされ、震は奮い立つ雷、兌は喜ばせる沢を表します。一斎はここから、東方の人は義勇に富んで頼もしく、西方の人は智慧に富むがかえって警戒すべきだと読みます。前後の条で西洋の技術や大砲を論じていることを思えば、「西方の人」には西洋諸国が重ねられているのでしょう。易の方位論で国際情勢を読もうとする発想は今から見れば素朴ですが、相手の智慧や巧みさを認めつつ警戒を怠らない構えが表れています。相手の強みの性質を見極めて付き合い方を考える視点として読めます。
この章句が説くこと
易方位気質西洋警戒
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