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言志四録 / 言志耋録 第百八十五条 過ち有るを告ぐれば則ち喜ぶ

生徒作詩文。示朋友索正。只怕改擴之不多。至於人事。則不喜人規正。何其小大之不倫爾邪。子路告以有過則喜。信是百世之師。

書き下し

生徒詩文を作り、朋友に示して正を索むるに、只改拡の多からざるを怕る。人事に至りては、則ち人の規正を喜ばず。何ぞ其れ小大の不倫なるや。子路は告ぐるに過ち有るを以てすれば則ち喜ぶ。信に是れ百世の師なり。

現代語訳

学生たちは詩文を作ると、友人に見せて添削を求め、ただ手を入れてもらう箇所が少ないことを心配する。ところが、自分の行いや人との関わりについては、人から正されるのを喜ばない。小事と大事の扱いが、なんとちぐはぐなことか。子路(孔子の門人)は、人から過ちを告げられると喜んだという。まことに百世にわたる師である。

解説

昌平坂学問所で多くの書生を見てきた一斎らしい観察です。詩文の添削なら、直しが多いほどありがたいと感じるのに、自分の振る舞いを指摘されると途端に不機嫌になる。技芸という小事には謙虚でも、人としてのあり方という大事には頑なになる矛盾を、一斎は「小大の不倫」と突きます。対して挙げられるのが、『孟子』公孫丑上にある「子路は人之に告ぐるに過ち有るを以てすれば則ち喜ぶ」の故事です。勇猛で直情な子路が、忠告を喜んで受け入れたことを一斎は百世の師と称えます。仕事の成果物へのレビューは歓迎できても、自分の態度や人柄への指摘は受け止めにくいものです。その差に気づくことが第一歩になりそうです。

この章句が説くこと

規正過ちを改める謙虚フィードバック子路

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