呻吟語 / 外篇・人情・死亡の時人を欺き得ず
人說己善則喜,人說己過則怒。自家善惡自家真知,待禍敗時欺人不得。人說體實則喜,人說體虛則怒,自家病痛自家獨覺,到死亡時欺人不得。
新字:人説己善則喜,人説己過則怒。自家善悪自家真知,待禍敗時欺人不得。人説体実則喜,人説体虚則怒,自家病痛自家独覚,到死亡時欺人不得。
書き下し
人己の善を說けば則ち喜び、人己の過ちを說けば則ち怒る。自家の善惡は自家真に知る。禍敗の時を待たば人を欺き得ず。人體の實を說けば則ち喜び、人體の虛を說けば則ち怒る。自家の病痛は自家獨り覺ゆ。死亡の時に到らば人を欺き得ず。
現代語訳
人が自分の善を言えば喜び、人が自分の過ちを言えば怒ります。自分の善悪は自分が本当に知っています。禍と敗れの時が来れば人を欺けません。人が体が丈夫だと言えば喜び、人が体が弱いと言えば怒ります。自分の病は自分だけが分かっています。死ぬ時が来れば人を欺けません。
解説
徳と体を、同じ形で並べます。どちらも人に言われて喜んだり怒ったりしますが、本当のところは自分が知っています。そして期限が示されます。徳は禍と敗れの時、体は死ぬ時。どちらも隠しきれなくなる瞬間があります。他人の評価をめぐる感情が、いずれ来る清算の前では無意味だという構図になっています。他人の評価をめぐる感情が、無意味になる瞬間です。
この章句が説くこと
善悪病自覚清算欺けない
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