言志四録 / 言志耋録 第九十一条 居敬の功は慎独に在り
居敬之功。最在愼獨。以有人而敬之。則無人時不敬。無人時自敬。則有人時尤敬。故古人不愧屋漏。不欺闇室。皆謂愼獨也。
新字:居敬之功。最在慎独。以有人而敬之。則無人時不敬。無人時自敬。則有人時尤敬。故古人不愧屋漏。不欺闇室。皆謂慎独也。
書き下し
居敬の功は、最も慎独に在り。人有るを以て之を敬せば、則ち人無き時は敬せず。人無き時に自ら敬せば、則ち人有る時は尤も敬す。故に古人は屋漏に愧ぢず、闇室を欺かず。皆慎独を謂ふなり。
現代語訳
敬を保つ修養の成果は、何よりも独りのときを慎むことにある。人がいるからという理由で慎むのであれば、人がいないときには慎まなくなる。人がいないときに自ら慎んでいれば、人がいるときにはいっそう慎むことになる。だから古人が「屋漏(部屋の奥の暗い隅)にも恥じない」「暗い部屋でも自分を欺かない」と言ったのは、いずれも独りを慎むことを言ったものである。
解説
敬を身につける修養の要は「慎独」、人の目のないところでの慎みにあると一斎は言います。人がいるから慎むのなら、人がいなくなれば崩れる。独りのときに慎める人は、人前ではなおさら慎める。理屈は単純ですが、要点を突いています。「屋漏に愧ぢず」は『詩経』大雅・抑の句で、『中庸』も引く言葉です。屋漏は家の奥の最も暗い隅を指し、そこにいても恥じるところがないという意味です。「闇室を欺かず」も、暗い部屋でも振る舞いを変えないことを言います。人事評価やモニタリングの仕組みが整うほど、見られていない場面での行いが、その人と組織の地力を静かに映し出すのかもしれません。
この章句が説くこと
慎独敬居敬誠実自律
関連する章句
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