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言志四録 / 言志晩録 別存 第四十条 胆は大に心は小に

公曰。孫思邈膽欲大。心欲小。可謂名言。膽大。度量也。心小。恭敬也。二者宜相兼爲得。

新字:公曰。孫思邈胆欲大。心欲小。可謂名言。胆大。度量也。心小。恭敬也。二者宜相兼為得。

書き下し

公曰く、「孫思邈の、胆は大ならんと欲し、心は小ならんと欲すとは、名言と謂ふべし。胆の大なるは、度量なり。心の小なるは、恭敬なり。二者宜しく相兼ねて得たりと為すべし」と。

現代語訳

公(林述斎)は言った。「孫思邈(唐の名医)の『胆は大きく、心は細かくありたい』という言葉は、名言と言うべきである。胆が大きいとは度量のことである。心が細かいとは、うやうやしく慎むことである。この二つは、両方を兼ね備えてこそ、よいと言うべきである」。

解説

唐の名医・孫思邈の「胆は大ならんと欲し、心は小ならんと欲す」という言葉を、述斎が名言として解釈した条です。この言葉は『旧唐書』などに伝わり、「智は円ならんと欲し、行は方ならんと欲す」と続きます。述斎は、胆の大きさを度量、心の小ささを恭敬、つまりうやうやしく慎むことと読みかえ、両方を兼ねてこそよいと言います。大胆なだけでは粗雑になり、細心なだけでは萎縮します。前の条の「渾厚」と「決断」の対と同じく、相反する資質をあわせ持つことを求める述斎の人物観がよく表れています。大きな決断を下すときほど細部への慎みが要ることを、改めて思い出させてくれる一条です。

この章句が説くこと

度量恭敬胆力細心指導者の資質

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