論語 / 子罕篇
子見齊衰者,冕衣裳者,與瞽者,見之,雖少必作,過之必趨。
新字:子見斉衰者,冕衣裳者,与瞽者,見之,雖少必作,過之必趨。
書き下し
子、斉衰者、冕衣裳者と瞽者とを見れば、之を見て、少しと雖も必ず作ち、之を過ぐれば必ず趨る。
現代語訳
先生は、喪服を着た人、礼装をつけた人、目の不自由な人に会われると、たとえ相手が年少であっても必ず立ち上がり、その前を通るときは必ず小走りで進まれた。
解説
三種類の相手が挙げられている。悲しみの中にある人、公の務めにある人、不自由を抱えた人。孔子はこの三者に対して、相手の年齢や身分に関わらず敬意の動作をとった。立ち上がる、小走りで通る。どちらも身体を使った、目に見える形である。敬意は心の中にあるだけでは伝わらないという前提が、ここにある。とくに雖少必作、年下でも必ず立つという点が重い。敬意の対象は人ではなく、その人が置かれている状況のほうだからである。地位が上がるほど、人は自分から動かなくなる。相手が来るのを待ち、座ったまま応対する。それが当然になった組織では、悲しみの中にいる人も、不自由を抱えた人も、序列の下に置かれる。立ち上がるかどうかは、小さいが決定的な差である。