説苑 / 雜言
仲尼曰:「史有君子之道三:不仕而敬上,不祀而敬鬼,直能曲於人。」
書き下し
仲尼曰く、「史に君子の道三つ有り。仕えずして上を敬い、祀らずして鬼を敬い、直にして能く人に曲がる」と。
現代語訳
孔子は言った。「史官には君子の道が三つある。仕官していなくても目上の者を敬い、祭祀を行っていなくても神霊を敬い、正直でありながらも人に対しては柔軟に譲歩することができる」と。
解説
仕える立場になくとも目上を敬う心を失わず、祭祀の当事者でなくとも神霊への敬意を保ち、正直でありながらも人間関係では柔軟に譲れるという史官の三つの美徳は、地位や役割に縛られずに敬意と柔軟性を保ち続ける人格の在り方を示す。現代の組織においても、直接の上下関係や契約上の義務がなくなった途端に敬意を失ったり、正直さを盾に他者との摩擦を厭わなくなったりする人は少なくない。この章が教えるのは、立場や役割の有無にかかわらず一貫して敬意を持ち続けること、そして正直さと柔軟な譲歩とは両立しうる美徳であるという、人間関係の成熟した在り方である。
この章句が説くこと
敬意柔軟性正直さ
関連する章句
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孟子・告子章句上孟季子、公都子に問いて曰く、「何を以て義は內と謂うや。」曰く、「吾が敬を行う。故に之を內と謂うなり。」「ᰰ人、伯兄より長ずること一歲ならば、則ち誰をか敬せん。」曰く、「兄を敬せん。」「酌まば則ち誰をか先にせん。」曰く、「先づᰰ人に酌まん。」「敬する所は此に在り、長ずる所は彼に在り。果して外に在り。内に由るに非ざるなり。」公都子、答うること能わず。以て孟子に告ぐ。孟子曰く、「叔父を敬せんか、弟を敬せんか、ととえ。彼將に曰んとす、『叔父を敬せん。』曰え、『弟、尸為らば、則ち誰をか敬せん。』彼將に曰んとす、『弟を敬せん。』子曰え、『惡にか在る其の叔父を敬するや。』彼將に曰んとす、『位に在るの故なり。』子亦た曰え、『位に在るの故ならば、庸の敬は兄に在り、斯須の敬はᰰ人に在り。』」季子之を聞きて曰く、「叔父を敬すべければ則ち敬し、弟を敬すべければ則ち敬す。果して外に在り。内に由るに非ざるなり。」公都子曰く、「冬日は則ち湯を飲み、夏日は則ち水を飲む。然らば則ち飲食も亦た外に在るか。」
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孟子・盡心章句上孟子曰く、「食いて愛せざるは、之を豕交するなり。愛して敬せざるは、之を獸畜するなり。恭敬なる者は、幣の未だ將わざる者なり。恭敬にして實無ければ、君子虚拘す可からず。」
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論語 郷党篇君に事うるには、敬を以てす。
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孟子・公孫丑章句下ことだと理屈をつけて断っている。勿論この理解の仕方は私の個人的なものであり、違う解釈もあり、昔から孟子像についていろいろ議論のある節である。
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史記 管晏列伝越石父賢なるに、縲紲の中に在り。晏子出でて、之に塗に遭ひ、左驂を解きて之を贖ひ、載せて帰る。謝せずして閨に入る。之を久しくして、越石父絶たんことを請ふ。晏子懼然として、衣冠を摂へ、謝して曰く、「嬰不仁と雖も、子を戹より免れしむ。何ぞ子の絶たんを求むるの速やかなるか」と。石父曰く、「然らず。吾聞く、君子は己を知らざる者に詘するも、己を知る者に信ぶ、と。方に吾縲紲の中に在るや、彼我を知らざるなり。夫子既に已にして感寤して我を贖へり。是れ己を知るなり。己を知りて礼無きは、固より縲紲の中に在るに如かず」と。晏子是に於いて延き入れて上客と為す。
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司馬法・嚴位凡そ戦いは、敬すれば則ち慊(こころよ)し、率(そつ)すれば則ち服す。