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言志四録 / 言志晩録 別存 第二十四条 医理に通達す

公毎餘暇。讀醫書。通達醫理。都下尋常醫人遠不及。獨與多紀桂山杉本樗園懇。但不好蘭方。及病篤。爲親戚所强。招一蘭醫診視。竟不甞其藥。不過慰族人耳。

新字:公毎余暇。読医書。通達医理。都下尋常医人遠不及。独与多紀桂山杉本樗園懇。但不好蘭方。及病篤。為親戚所強。招一蘭医診視。竟不甞其薬。不過慰族人耳。

書き下し

公、餘暇毎に医書を読み、医理に通達す。都下尋常の医人は遠く及ばず。独り多紀桂山・杉本樗園と懇ろなり。但だ蘭方を好まず。病篤きに及びて、親戚の強ふる所と為り、一蘭医を招きて診視せしむれども、竟に其の薬を嘗めず。族人を慰むるに過ぎざるのみ。

現代語訳

公(林述斎)は暇があるたびに医書を読み、医学の理論に通じていた。江戸の普通の医者では遠く及ばないほどであった。ただ多紀桂山(多紀元簡)と杉本樗園とだけは親しく交わった。ただし蘭方(西洋医学)は好まなかった。病が重くなると、親戚に強く勧められて一人の蘭方医を招いて診察させたが、ついにその薬を口にしなかった。一族の者を安心させるためにすぎなかったのである。

解説

述斎が医学にも通じていたことを記した条です。暇があれば医書を読み、江戸の並の医者では及ばないほどの見識を持ち、幕府医官の多紀桂山ら一流の漢方医とだけ親しく交わりました。しかし蘭方は好まず、臨終近くに親戚の勧めで蘭方医の診察を受けても、その薬は飲まなかったといいます。診察を受けたのは、心配する一族を慰めるためだけでした。儒者が医学に通じるのは当時珍しくありませんが、自分の信じる道を最期まで貫きつつ、周囲の気持ちには形の上で応えるという振る舞いに、述斎らしさが見えます。一斎はその頑なさも含めて、ありのままを記録しています。自分の判断と周囲の気づかいをどう両立させるかを考えさせる話です。

この章句が説くこと

医学博学信念家族への配慮晩年

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