言志四録 / 言志晩録 別存 第十八条 替りて懇諭せしむ
公於家人子弟所爲不滿意者。不親苛責。必使余替懇諭其意。是以不至害恩。
新字:公於家人子弟所為不満意者。不親苛責。必使余替懇諭其意。是以不至害恩。
書き下し
公、家人子弟の為す所の意に満たざる者に於ては、親ら苛責せず。必ず余をして替りて其の意を懇諭せしむ。是を以て恩を害するに至らず。
現代語訳
公(林述斎)は、家の者や子弟のすることで気に入らないことがあっても、自分で厳しく責めることはしなかった。必ず私に代わりにその意向を懇切に諭させた。そのため、親子や主従の情愛を損なうには至らなかった。
解説
述斎の家族や子弟への接し方を記した条です。気に入らないことがあっても自分では叱らず、一斎に代わりに懇ろに諭させたといいます。「恩を害する」とは、親子の情愛を損なうことです。『孟子』には、父が子を直接教えると、正しさを説くあまり怒りが生じて親子の間が傷つくので、古人は子を取り替えて教えたという話があり、述斎の方法はこれにかなっています。一斎はその役を担ったからこそ、この配慮の意味をよく知っていたのでしょう。近い関係ほど直接の叱責はこじれやすいものです。部下や家族に言いにくいことを伝えるとき、誰の口からどう伝えるかを考える手がかりになります。
この章句が説くこと
叱り方家庭教育易子而教情愛諭し
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