言志四録 / 言志晩録 第二百二十二条 石は重し、故に動かず
石重。故不動。根深。故不拔。人當知自重。
新字:石重。故不動。根深。故不抜。人当知自重。
書き下し
石は重し、故に動かず。根は深し、故に抜けず。人は当に自重を知るべし。
現代語訳
石は重いから動かない。根は深いから抜けない。人はまさに、自らを重んじることを知るべきである。
解説
重い石は揺るがず、深く根を張った木は抜けない。二つの自然の姿を示したうえで、人も「自重」を知るべきだと結びます。自重とは、単に軽はずみな行動を慎むことだけではありません。自分の中に重みを持ち、根を深く張ることで、外からの圧力や誘惑にたやすく動かされない状態をつくることです。『論語』学而篇の「君子重からざれば則ち威あらず」とも通じます。重みは地位や肩書から生まれるものではなく、日々の修養と学問によって内側に蓄えられるものだと一斎は考えていました。周囲の意見や流行にすぐ流されてしまうと感じるとき、自分にはどんな重みと根があるのかを問うてみる。それが判断のぶれを減らす出発点になるでしょう。
この章句が説くこと
自重主体性不動心根本威厳
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