言志四録 / 言志晩録 第百六十六条 游蕩の子弟も棄つべからず
游蕩子弟。亦非可棄。慫慂學問脩爲。即悔悟法也。一旦悔悟舊惡不可追。況其爲無賴。亦出於才。才則有所爲。易云。冥升。利于不已之貞。謂此。
新字:游蕩子弟。亦非可棄。慫慂学問脩為。即悔悟法也。一旦悔悟旧悪不可追。況其為無頼。亦出於才。才則有所為。易云。冥升。利于不已之貞。謂此。
書き下し
游蕩の子弟も、亦棄つべきに非ず。学問修為を慫慂するは、即ち悔悟の法なり。一旦悔悟すれば旧悪追ふべからず。況んや其の無頼たるも、亦才より出づ。才あれば則ち為す所有り。易に云ふ、「冥升、已まざるの貞に利し」と。此を謂ふ。
現代語訳
放蕩している若者も、見捨ててはならない。学問や修養を勧めることが、すなわち悔い改めさせる方法である。いったん悔い改めたならば、過去の悪行を追及してはならない。ましてや彼が無頼であるのも、やはり才気から出たものである。才があれば、何かを成し遂げる力がある。『易経』(升卦)に「暗がりの中で昇っていく者は、休まず正しさを守り続けるのがよい」とあるのは、このことを言っているのである。
解説
放蕩する若者をどう扱うかについての一条です。一斎は彼らを見捨てるなと言い、学問と修養を勧めることが立ち直らせる道だと説きます。そして悔い改めたなら過去を蒸し返すな、とも言います。さらに、無頼に走るのも実は才気の表れであり、才があれば事を成す力にもなる、と見ています。『易経』升卦の上六は、暗い中をなお昇ろうとする姿で、その勢いを止まない正しさに向け変えれば利がある、と一斎は読んだのでしょう。エネルギーのある人ほど道を外れやすいが、方向を与えればそれは力になる。問題を起こす部下や若手を、欠点ではなく使い道の定まらない才として見直す視点を与えてくれます。
この章句が説くこと
教育悔悟才更生人を活かす
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