言志四録 / 言志晩録 第百四十五条 妙年の嗣君は交友を択べ
人主之賢不肖。係一國之理亂。妙年嗣立者。最宜擇交友。其所視效或不良。則後遂誤邦家。可懼也。
新字:人主之賢不肖。係一国之理乱。妙年嗣立者。最宜択交友。其所視効或不良。則後遂誤邦家。可懼也。
書き下し
人主の賢不肖は、一国の理乱に係る。妙年にして嗣立する者は、最も宜しく交友を択ぶべし。其の視效する所或いは不良なれば、則ち後遂に邦家を誤る。懼るべきなり。
現代語訳
君主が賢明であるか愚かであるかは、一国が治まるか乱れるかにかかわる。若くして跡を継いだ者は、何よりも交わる友を選ばなければならない。もし見習う相手がよくなければ、後にはついに国家を誤らせることになる。恐れるべきことである。
解説
若くして家督を継いだ君主にとって、最も大切なのは交友の選択だという一条です。君主の賢不肖は一国の治乱に直結します。そして若い君主は、身近な者の言動を見て、それを手本に自分を形づくっていきます。見習う相手が悪ければ、本人に悪意がなくとも、やがて国を誤ることになる。一斎は藩主の子弟の教育にも関わった人で、この懸念には実感がこもっているでしょう。『論語』の「己に如かざる者を友とすること無かれ」にも通じます。若くして大きな責任を負う立場に就く人は、周囲にどんな人を置くかで方向が決まりやすいものです。後継者を育てる側も、本人の資質だけでなく、その周りの人間関係に目を配る必要があることを示しています。
この章句が説くこと
交友後継者感化君主の心得人を見る目
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