言志四録 / 言志晩録 第百四十二条 婦女の服飾を戒む
婦女以服飾美麗爲習。殆不可。人之有男女。與禽獸之有雌雄牝牡同。試見雄牡羽毛有飾。而雌牝無飾。天成之狀如是。
新字:婦女以服飾美麗為習。殆不可。人之有男女。与禽獣之有雌雄牝牡同。試見雄牡羽毛有飾。而雌牝無飾。天成之状如是。
書き下し
婦女服飾の美麗なるを以て習ひと為すは、殆ど不可なり。人の男女有るは、禽獣の雌雄牝牡有ると同じ。試みに見よ、雄牡は羽毛に飾り有りて、雌牝は飾り無し。天成の状是くの如し。
現代語訳
女性が衣服や装飾を美しく飾り立てることを習わしとするのは、まったくよくない。人間に男女があるのは、鳥や獣に雌雄や牝牡があるのと同じである。試しに見てみるがよい。雄は羽や毛に飾りがあるが、雌には飾りがない。天の自然の姿はこのようなものである。
解説
女性の華美な装いを戒め、その根拠を鳥獣の雌雄の違いに求めた一条です。孔雀や鶏のように雄の羽毛が華やかで雌が地味なのは天成の姿であり、人もそれに倣うべきだと一斎は言います。前の条の勤倹の風の議論と重なり、奥向きの奢侈を抑えたいという為政上の関心が背景にあります。自然界の観察から人倫を導く論法は儒者に多く見られますが、今日から見れば性別による役割の固定であり、そのまま受け入れることはできません。ただ、贅沢を戒める根拠を天の自然に求めようとする一斎の思考の型は読み取れます。自分が当然と思っている規範が、実は何を根拠にしているのかを問い直すきっかけとして読むことができます。
この章句が説くこと
倹約奢侈の戒め天成男女観時代の価値観
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