言志四録 / 言志晩録 第百十一条 天道の蘊を極む
竊地道之秘者。可以語覇。極天道之蘊者。可以言王。
新字:窃地道之秘者。可以語覇。極天道之蘊者。可以言王。
書き下し
地道の秘を竊む者は、以て覇を語るべし。天道の蘊を極むる者は、以て王を言ふべし。
現代語訳
地の道の秘訣をひそかに手に入れた者は、覇道を語ることができる。天の道の奥深いところを究めた者は、王道を語ることができる。
解説
覇道と王道の違いを、地道と天道に対応させた条です。地道の秘とは、地形や地の利、あるいは現実の力関係を巧みに操る術と読めます。それを「竊む」、つまり要領よく手に入れた者は、覇者の道を語ることはできる。しかし王者の道を語れるのは、天道の奥深さ、すなわち天地の理と人の本性を究めた者だけだというのです。先の条でも一斎は、英雄の心を攬る覇者と、天下の人心が従う王者とを対比していました。術や戦略に通じることと、根本の道理を体得することとの間には、埋めがたい隔たりがあります。戦略の巧拙を超えて、自分の拠って立つ原理は何かを問う視点を与える一条です。
この章句が説くこと
王道覇道天道地道為政
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