導師導古典を学びたいすべての人に

言志四録 / 言志晩録 第八条 病に因りて之に薬す

爲人沈靜者。工夫尤宜勉事上鍊磨。恢豁者。則工夫宜不忘靜坐脩養。其實動靜非二。姑因病藥之。卽是沈潜剛克。高明柔克。

新字:為人沈静者。工夫尤宜勉事上錬磨。恢豁者。則工夫宜不忘静坐脩養。其実動静非二。姑因病薬之。即是沈潜剛克。高明柔克。

書き下し

人と為り沈静なる者は、工夫尤も宜しく事上錬磨を勉むべし。恢豁なる者は、則ち工夫宜しく静坐修養を忘れざるべし。其の実動静は二に非ず。姑く病に因りて之に薬するのみ。即ち是れ沈潜は剛もて克し、高明は柔もて克すなり。

現代語訳

人柄が沈着で静かな人は、修養の工夫として、とりわけ実際の事に当たって自分を磨き上げることに努めるべきである。度量が広く大らかな人は、修養の工夫として静坐して心を養うことを忘れてはならない。実のところ、動と静は二つの別物ではない。ひとまずその人の偏り(病)に応じて薬を与えるだけである。これがつまり、「沈み潜む性質の者は剛によって克服し、高く明るい性質の者は柔によって克服する」(書経)ということである。

解説

修養の方法を、その人の気質に応じて処方せよと説いた条です。もの静かな人には、王陽明が重んじた「事上錬磨」、つまり実務の中で自分を鍛えることを勧め、豪放な人には、朱子学が重んじた静坐による心の養いを勧めます。動と静は本来一つであり、偏りを病に見立てて薬を与えるだけだ、というのが一斎の考えです。結びの句は書経洪範篇の「沈潜には剛もて克し、高明には柔もて克す」で、性質の逆を補えという意味です。陽明学と朱子学の方法を対立させず、使い分けるところに一斎らしさがあります。部下の育成でも、自分の成長でも、得意なやり方ばかり続けるのではなく、苦手な側から補う発想の手がかりになります。

この章句が説くこと

事上錬磨静坐気質人材育成動静一如

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る