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言志四録 / 言志後録 第二百五十四条 補天浴日の大事業

先賢有補天浴日大事業。其自視漠然如輕靄浮雲然。吾聞古有其人矣。今則夢寐而已。

新字:先賢有補天浴日大事業。其自視漠然如軽靄浮雲然。吾聞古有其人矣。今則夢寐而已。

書き下し

先賢に補天浴日の大事業有り。其の自ら視ること漠然として軽靄浮雲の如く然り。吾、古に其の人有るを聞けり。今は則ち夢寐のみ。

現代語訳

昔の賢人には、天の裂け目を補い太陽を洗い清めるほどの大事業を成し遂げた人がいる。それでいてその人自身は、成し遂げたことを淡々と、薄い靄や浮かぶ雲のように何でもないものと見ていた。私は昔にそういう人がいたと聞いている。しかし今では、夢に見るばかりである。

解説

補天浴日は、女媧が五色の石で天の裂け目を補った神話と、羲和が太陽を湯浴みさせた神話に由来し、国家を立て直すほどの大功業を指す言葉です。そのような大事業を成し遂げながら、自分では淡い靄や浮雲のように何でもないものと見なす。論語の「富貴は我に於いて浮雲の如し」にも通じる、功を誇らない境地です。一斎は、昔はそういう人がいたと聞くが、今の世では夢に見るしかないと嘆きます。前条の三不朽に続き、理想の人物像を語った条です。大きな成果を上げたときにこそ、それをどう自分の中に置くかが問われます。実績と自己評価の距離を考える材料になるでしょう。

この章句が説くこと

謙虚功業無欲理想の人物淡泊

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