言志四録 / 言志後録 第二百三十三条 兵書も一たび渉るべし
兵書亦宜一涉。孫呉固佳。孫子筆鋒。與兵法亞。但有意於著書。吳子較著實。
新字:兵書亦宜一渉。孫呉固佳。孫子筆鋒。与兵法亜。但有意於著書。呉子較著実。
書き下し
兵書も亦宜しく一たび渉るべし。孫・呉固より佳なり。孫子の筆鋒は、兵法と亜ぐ。但だ書を著すに意有り。呉子は較著実なり。
現代語訳
兵書もまた一度は目を通しておくのがよい。孫子と呉子はもとよりよい。孫子の文章の鋭さは、その兵法そのものに並ぶほどである。ただ、書物を著すことに意を用いたところがある。呉子のほうがやや着実である。
解説
学者も兵書に一度は目を通すべきだと勧める条で、ここから一斎は兵法をめぐる条を続けます。代表として挙げるのは『孫子』と『呉子』です。孫子については、文章の鋭さが兵法の内容に劣らないほど見事だとほめつつ、書物として見せようとする意識があると指摘します。呉子のほうが飾り気がなく、実地に即していると言います。文章の巧みさと内容の着実さを分けて評価する目は、これまでの文章論の条ともつながっています。一斎は武家社会の儒官として、治にいて乱を忘れない心構えを重んじました。自分の専門外の分野にも一度は触れ、その優れた古典を読むことが視野を広げるという示唆になる条です。
この章句が説くこと
兵法読書孫子着実
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