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言志四録 / 言志後録 第二百二十六条 肝気は事を済さず

有肝氣者多卞急。又不能容物。毎失人和。故雖有好意思。不耐完成。或謂稍有肝氣。卻能了事。余則謂肝氣惡能濟事。厪足灑掃一室耳。

新字:有肝気者多卞急。又不能容物。毎失人和。故雖有好意思。不耐完成。或謂稍有肝気。却能了事。余則謂肝気悪能済事。厪足灑掃一室耳。

書き下し

肝気有る者は多く卞急にして、又物を容るる能はず。毎に人和を失ふ。故に好意思有りと雖も、完成するに耐へず。或ひと謂ふ、「稍肝気有れば、却って能く事を了す」と。余は則ち謂ふ、肝気悪んぞ能く事を済さん。厪かに一室を灑掃するに足るのみ、と。

現代語訳

かんしゃく持ちの人は多くがせっかちで、また物事や人を受け入れることができない。いつも人との和を失う。だから、よい考えを持っていても、それを成し遂げることができない。ある人は「少しかんしゃくがあるほうが、かえって物事をうまく片づける」と言う。私はこう言う。かんしゃくでどうして事を成し遂げられようか。せいぜい一部屋を掃除するのに足りるだけである、と。

解説

「肝気」とは、かんしゃくや気短さのことです。気短な人はせっかちで度量が狭く、周囲との和を失うため、よい考えを持っていても最後までやり遂げられないと一斎は言います。これに対し、多少気が強いほうが仕事が片づくという意見もあります。一斎はそれを退け、かんしゃくで片づくのはせいぜい一部屋の掃除くらいだと皮肉ります。後漢の陳蕃が「大丈夫は天下を掃除すべし、安んぞ一室を事とせん」と言った故事を裏返した表現でしょう。怒りや強い口調で人を動かすと、目の前の小さな仕事は早く進んでも、大きな事業に必要な人の協力は得られません。強さと短気を取り違えていないかを問う条です。

この章句が説くこと

短気度量人和統率心術

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