言志四録 / 言志後録 第百九十三条 急ぐ文書こそ稿を起こす
火急作文書。須必先立案起稿。而後徐更寫。郤是成速。無悞。
新字:火急作文書。須必先立案起稿。而後徐更写。郤是成速。無悞。
書き下し
火急に文書を作るには、須らく必ず先づ案を立て稿を起こし、而る後徐ろに更に写すべし。却って是れ成ること速やかにして、誤り無し。
現代語訳
急いで文書を作るときこそ、必ずまず構想を立てて下書きを起こし、その後で落ち着いて改めて清書すべきである。そのほうがかえって出来上がりが早く、誤りもない。
解説
急ぎの文書ほど手順を省くなという、きわめて実務的な一条です。時間がないと、いきなり清書に取りかかりたくなりますが、一斎は必ずまず案を立てて下書きをし、それから落ち着いて書き写せと言います。そのほうが結局は早く、誤りもない。手順を踏むことで、書き直しや誤りの訂正に費やす時間が省けるからです。儒官として公的な文章を数多く手がけた一斎の経験がにじんでいます。次の条では書いたものを必ず読み返せと続きます。急ぎのメールや報告書を、構成を考えずに書き始めて手戻りしていないか、振り返るのによい一条です。
この章句が説くこと
文書段取り実務慎重仕事術
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史記 張丞相列伝張丞相蒼(ちやうじやうしやうさう)は、陽武の人なり。書・律歴を好む。秦の時に御史と為り、柱下の方書を主る。罪有りて、亡げ帰る。沛公の地を略して陽武を過ぐるに及び、蒼は客を以て従ひて南陽を攻む。蒼は法に坐して斬に当たり、衣を解きて質に伏す。身長大にして、肥白なること瓠(ひさご)の如し。時に王陵見て其の美士なるを怪しみ、乃ち沛公に言ひて、赦して斬らざらしむ。遂に従ひて西のかた武関に入り、咸陽に至る。沛公立ちて漢王と為り、漢中に入り、還りて三秦を定む。陳餘、常山王張耳を撃ちて走らす。耳、漢に帰す。漢乃ち張蒼を以て常山の守と為す。淮陰侯に従ひて趙を撃ち、蒼、陳餘を得たり。趙の地已に平らぎ、漢王、蒼を以て代の相と為し、辺寇に備へしむ。已にして徙りて趙の相と為り、趙王耳に相たり。耳卒し、趙王敖に相たり。復た徙りて代王に相たり。燕王臧荼反し、高祖往きて之を撃つ。蒼は代の相を以て従ひて臧荼を攻めて功有り、六年中を以て封ぜられて北平侯と為り、食邑千二百戸。遷りて計相と為り、一月にして、更に列侯を以て主計と為ること四歳。是の時蕭何相国為り。而して張蒼は乃ち秦の時より柱下の史と為り、天下の図書・計籍に明習す。蒼又善く算・律歴を用ふ。故に蒼をして列侯を以て相府に居り、郡国の上計する者を領主せしむ。黥布反して亡び、漢、皇子長を立てて淮南王と為し、而して張蒼之に相たり。十四年、遷りて御史大夫と為る。
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