言志四録 / 言志後録 第百十条 羊を牽けば悔亡ぶ
牽羊悔亡。操存工夫當如此。
新字:牽羊悔亡。操存工夫当如此。
書き下し
羊を牽けば悔亡ぶ。操存の工夫は当に此くの如くなるべし。
現代語訳
『易』に「羊を牽けば悔亡ぶ(羊を引いていけば後悔が消える)」とある。心をしっかりとつかんで保つ(操存)工夫は、まさにこのようであるべきだ。
解説
「羊を牽けば悔亡ぶ」は『易』夬卦九四の爻辞です。羊は前から無理に引くと抵抗して動かず、後ろから追うように導けば素直に進むと解釈されてきました。一斎はこれを、心を保つ「操存」の工夫にあてはめます。操存は『孟子』告子篇の「操れば則ち存し、舎つれば則ち亡ふ」に基づく語で、心を手放さずに保つことです。心も羊と同じく、力ずくで押さえつけようとすると反発して乱れ、かえって保てません。ほどよく手綱を握りながら、自然な流れで導くことが肝要だというのでしょう。自分の感情を無理に抑え込もうとして逆に乱れた経験のある人には、うなずける教えです。人を動かすときにも同じ道理が当てはまりそうです。
この章句が説くこと
操存心術易導き自制
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