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言志四録 / 言志後録 第九十条 静何ぞ曾て動かざらん

釋靜爲不動者。訓詁也。靜何曾不動。釋動爲不靜者。訓詁也。動何曾不靜。

新字:釈静為不動者。訓詁也。静何曽不動。釈動為不静者。訓詁也。動何曽不静。

書き下し

静を釈して動かずと為すは、訓詁なり。静何ぞ曾て動かざらん。動を釈して静かならずと為すは、訓詁なり。動何ぞ曾て静かならざらん。

現代語訳

「静」を「動かないこと」と解釈するのは、文字の上だけの注釈(訓詁)にすぎない。静がどうして動かないことなどあろうか。「動」を「静かでないこと」と解釈するのも、文字の上だけの注釈にすぎない。動がどうして静かでないことなどあろうか。

解説

静と動を単なる反対語として片づける字義解釈を、一斎は「訓詁」にすぎないと退けます。宋の周敦頤は『通書』で「動にして動無く、静にして静無きは、神なり」と述べ、静の中に動の働きがあり、動の中に静が保たれる境地を説きました。一斎もこれを受け、本当の静とは内に働きを蔵した静であり、本当の動とは心の落ち着きを失わない動だと言うのです。独楽が最もよく回っているときに静止して見えるように、両者は切り離せません。語義を辞書的に定めることで、かえって生きた道理が見えなくなるという批判は、後の条の「経解に釘牢縄縛す」にも通じます。忙しく動き回る中で心の静けさを保てているか、自分に問うてみる材料になります。

この章句が説くこと

動静訓詁心術周敦頤平常心

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