言志四録 / 言志録 第二百四十一条 定まらずして定まる
不定而定。謂之無妄。宇宙間唯有此活道理充塞焉。萬物得此以成其性。所謂物與無妄也。
新字:不定而定。謂之無妄。宇宙間唯有此活道理充塞焉。万物得此以成其性。所謂物与無妄也。
書き下し
定まらずして定まる、之を無妄と謂ふ。宇宙の間、唯だ此の活道理有りて充塞す。万物此を得て以て其の性を成す。所謂物ごとに無妄を与ふるなり。
現代語訳
定まっていないようでいて定まっている、これを無妄(いつわりのない真実)という。宇宙の間には、ただこの生きた道理だけが満ちふさがっている。万物はこれを得てそれぞれの本性を成り立たせている。いわゆる「物ごとに無妄を与える」というのがこれである。
解説
「無妄」は『易経』の卦の名で、いつわりや作為のない天の真実を指します。その象伝に「天下雷行きて、物ごとに无妄を与ふ」とあり、一斎はこれを引いて結んでいます。「定まらずして定まる」とは、万物は刻々と変化して固定されていないのに、その変化の中に確かな筋道が貫かれている、という意味でしょう。一斎はそれを「活道理」、生きた道理と呼びました。この後の条で「数」や天命を論じていく、その前置きとも読めます。変化の激しい状況で、決まりきった答えはなくても筋は通っている。その感覚を持てるかどうかが、揺れる時期に判断を誤らない鍵になるのかもしれません。
この章句が説くこと
無妄易活道理本性変化
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