言志四録 / 言志録 第八十二条 有司を歴て令す
人主每事私自令。則少威嚴。歷有司。則人嚴憚之。
新字:人主毎事私自令。則少威厳。歴有司。則人厳憚之。
書き下し
人主事毎に私に自ら令すれば、則ち威厳少なし。有司を歴れば、則ち人之を厳憚す。
現代語訳
君主が事あるごとに、自分で内々に命令を下すと、威厳が乏しくなる。担当の役人を通して命じれば、人々はそれを重んじてはばかる。
解説
命令の出し方についての一条です。君主が何事にも自分で直接、しかも正式の手続きを経ずに指示を出すと、かえって威厳が薄れてしまう。これに対し、「有司」、つまりその事を担当する役人を通して命じれば、人々はそれを重く受け止め、慎んで従う、と一斎は言います。トップの直接の指示はその場では早く効くように見えますが、担当者の立場を飛び越し、組織の筋道を崩してしまいます。また、気まぐれな思いつきのように受け取られ、重みを失います。先の条の、大臣は大綱を統べ、日々の細事は旧套に従えという考えとも通じます。何でも自分で指示したくなる経営者や管理職にとって、指揮系統を通すことの意味を考え直す手がかりになるでしょう。
この章句が説くこと
指揮系統威厳権限委譲組織運営為政
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