言志四録 / 言志録 第三十一条 閑事を認めて実事と為す
今人率口說多忙。視其所爲。整頓實事十一二。料理閑事十八九。又認閑事以爲實事。宜其多忙。有志者勿誤踏此窠。
新字:今人率口説多忙。視其所為。整頓実事十一二。料理閑事十八九。又認閑事以為実事。宜其多忙。有志者勿誤踏此窠。
書き下し
今人率ね口に多忙を説く。其の為す所を視るに、実事を整頓するは十に一二、閑事を料理するは十に八九。又閑事を認めて以て実事と為す。宜なり其の多忙なるや。志有る者は誤りて此の窠を踏むこと勿れ。
現代語訳
今の人はたいてい口では忙しいと言う。しかしその行っていることを見ると、肝心な仕事を片づけているのは十のうち一、二で、どうでもよい仕事を処理しているのが十のうち八、九である。しかも、どうでもよい仕事を肝心な仕事だと思い込んでいる。忙しいのも当然である。志のある者は、誤ってこの穴にはまってはならない。
解説
二百年前に書かれたとは思えないほど、今の働き方に刺さる条です。忙しいと口にする人の仕事ぶりを見ると、本当に大事な仕事は一、二割で、残りの八、九割は取るに足らない仕事だと一斎は言います。しかも問題は、その閑事を実事と思い込んでいることにあります。忙しさは仕事の量ではなく、何が大事かを見分けられないことから生まれる、という指摘です。「窠」は鳥の巣や穴のことで、一度はまると抜け出しにくい落とし穴を表しています。次の条で、志がなければ読書さえ閑事になると述べるのと一続きです。自分の一週間を振り返り、実事と閑事の割合を確かめてみる材料になります。
この章句が説くこと
多忙実事と閑事優先順位時間の使い方立志
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