言志四録 / 言志録 第十八条 妙処は天然の形勢
凡事到玅處。不過自得天然形勢。此外更別無玅。
新字:凡事到玅処。不過自得天然形勢。此外更別無玅。
書き下し
凡そ事の妙処に到るは、天然の形勢を自得するに過ぎず。此の外更に別に妙無し。
現代語訳
およそ物事が絶妙の境地に達するというのは、自然のままの成り行きや勢いを自ら会得することにすぎない。このほかに特別な妙というものはない。
解説
前の条の「其の事無き所を行ふ」を受けて、技や仕事の極意を語った条です。どんな分野でも名人の域に達した人の仕事は、奇抜な工夫によるのではなく、物事の自然な形と勢い(形勢)を自らつかみ取っている点にある、と一斎は言います。「自得」は、人から教わるのではなく自分の体で会得することで、一斎が繰り返し重んじる語です。特別な秘訣を探すより、対象の自然な性質をよく観て、それに沿うことが妙の正体だというのです。ノウハウや裏技を求めがちなとき、目の前の仕事の自然な流れを本当に見極めているかを問い直す手がかりになります。
この章句が説くこと
自得妙処形勢熟達自然
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