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言志四録 / 言志録 第十一条 心は至霊なり

權能輕重物。而不能自定其輕重。度能長短物。而不能自度其長短。心則能是非物。而又自知其是非。是所以爲至靈歟。

新字:権能軽重物。而不能自定其軽重。度能長短物。而不能自度其長短。心則能是非物。而又自知其是非。是所以為至霊歟。

書き下し

権は能く物を軽重すれども、自ら其の軽重を定むること能はず。度は能く物を長短すれども、自ら其の長短を度ること能はず。心は則ち能く物を是非して、又自ら其の是非を知る。是れ至霊たる所以か。

現代語訳

はかりは物の重さを量ることはできるが、自分自身の重さを定めることはできない。ものさしは物の長さを測ることはできるが、自分自身の長さを測ることはできない。心は物事の是非を判断できるうえに、自分自身の是非をも知ることができる。これこそ心がこの上なく霊妙なものである理由であろうか。

解説

はかり(権)とものさし(度)を引き合いに、心の特質を浮かび上がらせた条です。道具は外の物を量れても、自分自身を量ることはできません。ところが心は、物事の善し悪しを判断するだけでなく、その判断をしている自分自身の善し悪しまで知ることができる。一斎はそこに心の「至霊」、すなわちこの上ない霊妙さを見ます。『孟子』の「権りて然る後に軽重を知る」を踏まえつつ、自己を省みる力こそ人の心の本領だと示しています。陽明学の良知にも通じる考えです。他人や物事を評価する立場にある人ほど、その物差しが自分自身にも当てられているかを省みる材料になります。

この章句が説くこと

心是非自省良知判断力

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