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益軒家訓 / 士業勿怠

一凡身を立つるの道は、忠孝勤儉の四字に在り。君に仕へて心をつくすを忠とし、能く親に事ふるを孝とし、學問家業に不怠を勤といふ。約にして不奢を儉と云ふ。忠孝は其分なり、勤儉は家をおこすの法なり。又身を保つ道は、智惠を內に含み、人にへりくだり、言少なく、身を顧みて過をあらため、己を責めて人をそしらざるにあり。上を謗らざるはいふにおよばず。是皆殃を遁れ身を保つの道なり。

新字:一凡身を立つるの道は、忠孝勤倹の四字に在り。君に仕へて心をつくすを忠とし、能く親に事ふるを孝とし、学問家業に不怠を勤といふ。約にして不奢を倹と云ふ。忠孝は其分なり、勤倹は家をおこすの法なり。又身を保つ道は、智恵を内に含み、人にへりくだり、言少なく、身を顧みて過をあらため、己を責めて人をそしらざるにあり。上を謗らざるはいふにおよばず。是皆殃を遁れ身を保つの道なり。

書き下し

一凡身を立つるの道は、忠孝勤倹の四字に在り。君に仕へて心をつくすを忠とし、能く親に事ふるを孝とし、学問家業に不怠を勤といふ。約にして不奢を倹と云ふ。忠孝は其分なり、勤倹は家をおこすの法なり。又身を保つ道は、智恵を内に含み、人にへりくだり、言少なく、身を顧みて過をあらため、己を責めて人をそしらざるにあり。上を謗らざるはいふにおよばず。是皆殃を遁れ身を保つの道なり。

現代語訳

およそ身を立てる道は、忠・孝・勤・倹の四字にあります。君に仕えて心を尽くすのを忠とし、よく親に仕えるのを孝とし、学問と家業に怠らないのを勤といいます。つつましくして奢らないのを倹といいます。忠と孝はその本分であり、勤と倹は家を興す方法です。また身を保つ道は、知恵を内に含み、人にへりくだり、言葉を少なくし、自分の身を顧みて過ちを改め、自分を責めて人をそしらないことにあります。目上をそしらないのは言うまでもありません。これらは皆、災いを逃れて身を保つ道です。

解説

身を立てる道を「忠孝勤倹」の四字にまとめた、家訓の要約ともいえる条です。忠孝は人としての本分、勤倹は家を興す方法と役割を分けているのが特徴です。さらに身を保つ道として、知恵をひけらかさず、へりくだり、言葉を少なくし、自分を責めて人をそしらないことを挙げています。これは冒頭の聖學須勤の節で説いた謙の教えと響き合っています。勤勉と倹約で暮らしを立て、控えめなふるまいで災いを避けるという教えは、仕事でも人付き合いでも通用する処世の基本です。

この章句が説くこと

忠孝勤倹処世謙言葉

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