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益軒家訓 / 幼児須教

一十一歳、是れより漸く四書五經等を讀ましめ、また文武の藝能をも習はしむべし。一十五歲は古人大學に入りし年なり。これより專ら義理を學び、己を修め人を治る道を知るべし。生質遲鈍なりとも、是より二十歲迄の間に、小學四書等の大義に通ずべし。若聰明ならば、博く學び多く知らすべし。凡君子の學問は、智仁勇の三德を本とし、父子、君臣、夫婦、長幼、朋友の五倫を道とすべし。就中忠孝を重んずべし。君父の恩を忘るべからず。

新字:一十一歳、是れより漸く四書五経等を読ましめ、また文武の芸能をも習はしむべし。一十五歳は古人大学に入りし年なり。これより専ら義理を学び、己を修め人を治る道を知るべし。生質遅鈍なりとも、是より二十歳迄の間に、小学四書等の大義に通ずべし。若聰明ならば、博く学び多く知らすべし。凡君子の学問は、智仁勇の三徳を本とし、父子、君臣、夫婦、長幼、朋友の五倫を道とすべし。就中忠孝を重んずべし。君父の恩を忘るべからず。

書き下し

一十一歳、是れより漸く四書五経等を読ましめ、また文武の芸能をも習はしむべし。一十五歳は古人大学に入りし年なり。これより専ら義理を学び、己を修め人を治る道を知るべし。生質遅鈍なりとも、是より二十歳迄の間に、小学四書等の大義に通ずべし。若聰明ならば、博く学び多く知らすべし。凡君子の学問は、智仁勇の三徳を本とし、父子、君臣、夫婦、長幼、朋友の五倫を道とすべし。就中忠孝を重んずべし。君父の恩を忘るべからず。

現代語訳

十一歳からは、だんだん四書五経などを読ませ、また文武の芸能も習わせるべきです。十五歳は、昔の人が大学に入った年です。これからはもっぱら道理を学び、自分を修め人を治める道を知るべきです。生まれつき鈍くても、これから二十歳までの間に、小学や四書などの大意に通じるべきです。もし聡明であれば、広く学ばせ多く知らせるべきです。およそ君子の学問は、智・仁・勇の三つの徳を根本とし、父子・君臣・夫婦・長幼・朋友の五倫を道とすべきです。なかでも忠と孝を重んじるべきです。君と父の恩を忘れてはなりません。

解説

十一歳から二十歳までの学びを示し、学問の根本を智・仁・勇の三徳と五倫に置いています。三徳は中庸に「知・仁・勇の三者は天下の達徳なり」とあり、五倫は孟子の滕文公上篇に見える人間関係の五つの道です。鈍い子でも二十歳までに大意に通じればよく、聡明なら広く学ばせよという言い方には、一人ひとりの力に応じた目標を立てる考えが表れています。忠と孝を特に重んじるのは武家の家訓らしいところですが、知識だけでなく人との関係の中で正しく生きる力を育てるという目標は、今の教育にも通じます。

この章句が説くこと

学問三徳五倫忠孝教育

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