易経 / 遯卦
遯尾之厲,不往何災也。 執用黃牛,固志也。 系遯之厲,有疾憊也。畜臣妾吉,不可大事也。 君子好遯,小人否也。 嘉遯貞吉,以正志也。 肥遯,无不利;无所疑也。
新字:遯尾之厲,不往何災也。 執用黄牛,固志也。 系遯之厲,有疾憊也。畜臣妾吉,不可大事也。 君子好遯,小人否也。 嘉遯貞吉,以正志也。 肥遯,无不利;无所疑也。
書き下し
遯るるに尾たるの厲きは、往かざれば何の災いかあらん。執うるに黄牛を用うとは、志を固くするなり。系りて遯るるの厲きは、疾有りて憊るればなり。臣妾を畜えば吉とは、大事にすべからざるなり。君子は好しとして遯る、小人は否ざるなり。嘉く遯る、貞にして吉とは、以て志を正せばなり。肥かに遯る、利ろしからざる无しとは、疑う所无きなり。
現代語訳
「退く者の最後尾にいて危うい」とは、進んで行かなければ何の災いがあろうか、ということである。「黄牛の革で縛りつける」とは、志を固く保つことである。「心残りに縛られながら退いて危うい」とは、病があって疲れ果てるからである。「家臣や召使いを養うには吉」とは、大事を行うことはできないということである。君子は好ましく思うものがあっても退くが、小人にはそれができない。「見事に退き、正しさを守って吉」とは、それによって志を正しくするからである。「ゆったりと退いて不利がない」とは、何の迷いもないからである。
解説
遯の爻辞に象伝が添えた理由づけです。初六の「遯るるに尾たる」危うさには、「往かざれば何の災いかあらん」と、下手に動かなければ害はないと説きます。九四では「君子は好しとして遯る、小人は否ざるなり」と、好むものがあっても未練を断って退けるかどうかが君子と小人を分けると言います。そして上九の「肥かに遯る」に不利がないのは「疑う所无き」ゆえだと結びます。役職や事業から身を引くときも、未練や迷いを残さず、はっきり決めて退くことが、自分も周りも傷つけない退き方になります。
この章句が説くこと
退く未練決断迷い
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