呻吟語 / 内篇・修身・退いて極處に到れば身を安んずるに愁へず
克一分、百分、千萬分,克得盡時,才見有生真我;退一步、百步、千萬步,退到極處,不愁無處安身。
新字:克一分、百分、千万分,克得尽時,才見有生真我;退一歩、百歩、千万歩,退到極処,不愁無処安身。
書き下し
一分を克ち、百分、千萬分、克ち得て盡くる時、才かに生ある真の我有るを見る。一步を退き、百步、千萬步、退きて極處に到れば、身を安んずる處無きを愁へず。
現代語訳
一分を克ち、百分、千万分と克って、克ち尽くした時に、初めて生きた本当の自分が見えます。一歩を退き、百歩、千万歩と退いて、極まる所まで退けば、身を置く場所が無いことを心配しなくなります。
解説
克つことと退くことを、どちらも極限まで進めます。克ち尽くした先に本当の自分が現れ、退き尽くした先に居場所の心配が消える。どちらも失うことの果てに得るものがあるという構造です。とくに後半が印象的で、退く場所が無くなるまで退けば、かえって不安が消えるという逆説になっています。失うことの果てに得るものがある、という二重の逆説です。
この章句が説くこと
克己退く極限真我安心
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