呻吟語 / 内篇・應務・萬福は皆な退反に生ず
過責望人,亡身之念也。君子相與,要兩有退心,不可兩有進心。自反者,退心也。故剛兩進則碎,柔兩進則屈,萬福皆生於退反。
新字:過責望人,亡身之念也。君子相与,要両有退心,不可両有進心。自反者,退心也。故剛両進則砕,柔両進則屈,万福皆生於退反。
書き下し
過ちて人を責望するは、身を亡ぼすの念なり。君子相與するは、兩つながら退心有るを要し、兩つながら進心有る可からず。自反する者は、退心なり。故に剛は兩つながら進めば則ち碎け、柔は兩つながら進めば則ち屈す。萬福は皆な退反に生ず。
現代語訳
過ちがあったのに人を責め望むのは、身を滅ぼす心です。君子が互いに関わるときは、双方に退く心があるべきで、双方に進む心があってはなりません。自分に立ち返るのが退く心です。だから剛い者が双方とも進めば砕け、柔らかい者が双方とも進めば屈します。万の福は、みな退いて自分に返るところから生まれます。
解説
双方が前に出れば必ず壊れる、という力学を示します。剛同士なら砕け、柔同士なら屈する。硬軟を問わず同じ結果になるのが要点です。だから双方に退く心が要り、その退く心とは自分に立ち返ることだとされます。前に出てきた、柔と柔でも音はしないという段と合わせると、押し合いの構造がよく見えてきます。硬軟を問わず同じ結果になるのが、要点になっています。
この章句が説くこと
退く自反押し合い剛柔福
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