呻吟語 / 内篇・應務・退く者は常に倍を得
柔勝剛,訥止辯,讓愧爭,謙伏傲。是故退者得常倍,進者失常倍。
新字:柔勝剛,訥止弁,譲愧争,謙伏傲。是故退者得常倍,進者失常倍。
書き下し
柔は剛に勝ち、訥は辯を止め、讓は爭ひを愧ぢしめ、謙は傲を伏す。是の故に退く者は常に倍を得、進む者は常に倍を失ふ。
現代語訳
柔らかさは剛さに勝ち、訥弁は雄弁を止め、譲りは争いを恥じさせ、謙りは傲りを伏せます。だから退く者はいつも倍を得て、進む者はいつも倍を失います。
解説
四つの対で、弱く見える側が勝つことを並べます。柔、訥、譲、謙。いずれも積極的に押さない側です。そして結論が計算の形で示されます。退けば倍を得て、進めば倍を失う。前に出てきた、下は最も広く後ろは最も長いという段と同じ主張が、ここでは損得の勘定として言い直されています。下は最も広く後ろは最も長いという主張の、損得版です。
この章句が説くこと
柔弱謙譲退く損得逆説
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