弟子規 / 謹・將入門
將入門、問孰存、將上堂、聲必揚 人問誰、對以名、吾與我、不分明
新字:将入門、問孰存、将上堂、声必揚 人問誰、対以名、吾与我、不分明
書き下し
将に門に入らんとせば、孰か存すると問い、将に堂に上らんとせば、声必ず揚げよ。 人誰かと問わば、対うるに名を以てし、吾と我と、分明ならず。
現代語訳
門を入ろうとするときは、だれがいるかを尋ね、座敷にあがろうとするときは、声をかけて来たことを知らせなさい。 「だれか」と問われたら、名前で答えなさい。「吾だ」「我だ」と言うだけでは、はっきりしません。
解説
他人の家を訪ねる作法です。入る前に在宅を確かめ、座敷にあがる前に声をあげて来訪を知らせる。『礼記』曲礼にも、堂に上るとき声を揚げるという趣旨の規定があります。後半は、名乗りの教えです。「誰か」と問われて「私だ」と答えても、相手には分かりません。名前を言うのが礼であり、同時に相手への親切でもあります。電話や訪問で、社名と氏名をはっきり告げるのはその現代版です。入る前に知らせる、名乗って相手に身元を明らかにする。この二つで、不意打ちの不安を取り除けます。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
問孰存声必揚対以名名乗り分明訪問
関連する章句
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礼記・曲礼上将に舎に適(ゆ)かんとするには、求むること固(こ)なること毋かれ。将に堂に上らんとするには、声必ず揚ぐ。戸外に二屨(にく)有るに、言聞こゆれば、則ち入る。言聞こえざれば、則ち入らず。将に戸に入らんとするには、視ること必ず下にす。戸に入りては扃(けい)を奉じ、視瞻(しせん)回らすこと毋かれ。戸開けるは亦た開き、戸闔(と)じたるは亦た闔ず。後に入る者有らば、闔じて遂(と)げること勿かれ。屨を践むこと毋かれ、席を踖(ふ)むこと毋かれ。衣を摳(かか)げて隅に趨(はし)る。必ず唯諾(いだく)を慎む。
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弟子規・出則弟・尊長前尊長の前では、声は低きを要す。低くして聞こえざるは、却って宜しきに非ず。 進むには必ず趨り、退くには必ず遅く、問い起てば対え、視を移す勿かれ。 諸父に事うること父に事うるが如く、諸兄に事うること兄に事うるが如くせよ。
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弟子規・出則弟・稱尊長尊長を称するに、名を呼ぶ勿かれ。尊長に対して、能を見す勿かれ。 路に長に遇わば、疾く趨りて揖し、長言うこと無くんば、退きて恭しく立て。
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弟子規・謹・緩揭簾緩やかに簾を掲げ、声有る勿かれ。寛やかに転じ曲がり、棱に触るる勿かれ。 虚器を執ること盈つるを執るが如く、虚室に入ること人有るが如くせよ。
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弟子規・謹・步從容歩は従容、立つは端正、揖は深く円かに、拝は恭敬なれ。 閾を践む勿かれ、跛倚する勿かれ、箕踞する勿かれ、髀を揺らす勿かれ。
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弟子規・信・見未真見ること未だ真ならざれば、軽々しく言う勿かれ。知ること未だ的ならざれば、軽々しく伝うる勿かれ。 事の宜しからざるは、軽々しく諾う勿かれ。苟くも軽々しく諾えば、進退錯らん。