弟子規 / 謹・朝起早
朝起早、夜眠遲、老易至、惜此時 晨必盥、兼漱口、便溺回、輒淨手
新字:朝起早、夜眠遅、老易至、惜此時 晨必盥、兼漱口、便溺回、輒浄手
書き下し
朝は起くること早く、夜は眠ること遅く、老い至り易し、此の時を惜しめ。 晨には必ず盥い、兼ねて口を漱ぎ、便溺より回れば、輒ち手を浄めよ。
現代語訳
朝は早く起き、夜は遅く眠りなさい。老いはたやすく訪れるものですから、この時間を惜しみなさい。 朝には必ず顔を洗い、あわせて口をすすぎ、用を足して戻ったら、そのたびに手を洗い清めなさい。
解説
ここから「謹」の章、日々の立ち居振る舞いの慎みに入ります。冒頭は時間の惜しみ方で、老いが早く来るから今を惜しめ、という切実な理由が添えられます。朝早くから夜遅くまで励む暮らしを理想にした言い方ですが、睡眠を削れという意味ではなく、一日の時間を大切に使えという趣旨と読むのが穏当でしょう。後半の洗顔、うがい、手洗いは、衛生の習慣そのものです。『朱子家訓』が「黎明に即ち起き」と始まるのと同じ発想で、生活の基本を整える人が仕事の基礎も固める、という考えが貫かれています。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
朝起早夜眠遅老易至惜時盥漱浄手
関連する章句
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『五常訓』巻之四・礼一朝は早くおきて、事をつとむべし。古語に、一日の計は朝にありといへり。朝よりおこたれば、一日のつとめ捗ゆかず。故に朝おくる事の遅速を見て、其人の家の、興ると衰ふるとを知るべしと、古人もいへり。夜も学問家業をつとむべし。夜気は静なる故、事功尤はかゆくものなり。つとめて止まず、君子の人にまさるゆゑんなり。おこたりて務めず、衆人の君子に及ばざるゆゑんなり。士のみならず、農工商も同じ。よくつとめて、怠らざるは、必家をおこす。或人うたがふ、君子如此に、つとに起き、夜半にいねて、おこたらずんば、おそらくは精力つかれて、養生の道にあらじと云ふ。答へて曰、しからず。礼記曰く、君子荘敬なれば日につよく、安肆なれば日におこたる。いふ意は、行正しく、つつしみありて勤むれば、精力日々につよくなる。是血気めぐりて、陽気発生する故、病生ぜず。身を安く、わがままにして、つとめざれば、日々に怠りて、弱くなる。是血気ふさがりて滞り、元気めぐらずして、養生の道にたがへばなり。
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朱子家訓・黎明即起黎明に即ち起き、庭除を灑掃し、内外を整潔ならしめんことを要す。 既に昏れては便ち息い、門戸を関鎖して、必ず親自ら検点せよ。
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『山鹿語類』士道・愼容貌之動次に起之容あり。云心は、人平生の用、つとにおきて夜に寝るを以て節とす。内則曰、子事父母、鶏初鳴起とあり。是夙興の礼也。案ずるにつとに起るの節、唯夜明にして、灯を消して人面こゝに明に、用事可弁のときを以て節とす。是公私皆興て用こゝに可定の時也。出仕してこの節によろしからしめんとならば、鶏初て鳴の比より用意せしめずしては、此時に宜しかるべからず。故に古来夙に起るの節、各鶏初鳴の時を以てす。夜に寝るの制、大凡天既に暗くして用事弁じがたき時、外の事を止めて内に入るべし。而して従者下人を安居せしめ、我又四支を伸舒し、気をゆるやかにして、屈伸を時なふべし。是夙興夜寝の制也。
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『大和俗訓』巻之七・躬行下一古人は、人の朝早く起くると、おそく起くるとを以て、家の興廃を知るといへり。朝早く起くるは、家の栄ゆるしるしなり。遅く起くるは、家の衰ふる基なり。朝つとにおきて事を勉むるを以て、身の習はしとし、家のつとめの則とし、見習はしむべし。凡の人を見るに、朝居しては学ぶことならず。家業怠りて、富めるもの稀なり。朝居するは怠のはじめ、貧窮のもとゐなり。よく事をつとむる者は、一日を以て十日とす。つとめて怠なく、鋭なれば捗ゆく故なり。おこたる者は、十日を以て一日とす。日数多く経るといへど捗ゆかず。凡善をつとめて怠らざるを良士とす。必家をおこす。家業をつとめて怠らざるを良民とす。必富む。