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智囊 / 小慧・謝生

長洲謝生嗜酒,嘗游張幼於先生之門。幼於喜宴會,而家貧不能醉客。一日得美酒招客,童子率斟半杯,謝生苦不足,因出席小遺,紙封土塊,招童子密授之,囑曰:「我因髒病發,不能飲,今以數文錢勞汝,求汝淺斟吾酒也。」發封得塊,恨甚,故滿斟之,謝是日獨得倍飲。

新字:長洲謝生嗜酒,嘗游張幼於先生之門。幼於喜宴会,而家貧不能酔客。一日得美酒招客,童子率斟半杯,謝生苦不足,因出席小遺,紙封土塊,招童子密授之,囑曰:「我因髒病発,不能飲,今以数文銭労汝,求汝浅斟吾酒也。」発封得塊,恨甚,故満斟之,謝是日独得倍飲。

書き下し

長洲の謝生は酒を嗜み、嘗て張幼於先生の門に游ぶ。幼於は宴会を喜ぶも、家貧しくして客を酔わしむる能わず。一日、美酒を得て客を招く、童子は率ね半杯を斟す、謝生は足らざるに苦しみ、因りて席を出でて小遺し、紙もて土塊を封じ、童子を招きて密かに授け、囑して曰く、「我は髒病の発するに因り、飲む能わず、今数文の銭を以て汝を労う、汝に求む、淺く吾が酒を斟めよ」と。封を発きて塊を得、恨むこと甚だし、故に之を満斟す、謝は是の日独り倍飲を得たり。

現代語訳

長洲の謝生は酒好きで、かつて張幼於先生の門下に出入りしていた。幼於は宴会を好んだが、家が貧しく、客を酔わせるほどの酒は出せなかった。ある日、美酒を手に入れて客を招いた。給仕の少年は、いつも半杯ずつ注いだ。謝生は足りなくて困り、席を立って用を足しに行く機会に、紙で土のかたまりを包んで、少年を招いてこっそり渡し、言い含めた。「私は内臓の病が出て、酒が飲めない。いまこの数文の銭でお前をねぎらう。私の酒は少なめに注いでくれ。」少年が包みを開けると土のかたまりだったので、大いに恨み、わざと謝生の杯にはなみなみと注いだ。謝生はその日、ひとりだけ倍の酒を飲んだ。

解説

賄賂を偽り、相手の怒りを利用して逆の結果を引き出す、逆手の小細工です。少なく注いでほしいと頼むふりをして、実際には、騙されたと気づいた少年の恨みから、満杯に注がせました。直接頼むのではなく、相手の感情の反応を計算に入れて動く点が、発想として面白いところです。ただし、この話は少年を騙して怒らせる手法で、倫理的には問題があります。管理職が学べるのは、人は期待を裏切られたとき、逆方向に強く反応するという心理で、指示の出し方が部下の意図しない行動を引き出すこともあるという注意です。部下に対して、約束や期待を軽く扱うと、予想外の反発を招く危険があります。

この章句が説くこと

謝生半杯土塊人を見抜く感情の読み小慧

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