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智囊 / 小慧・朱古民

朱古民文學善謔,冬日在湯生齋中,湯曰:「汝素多智術,假如今坐室中,能誘我出戶外乎。」朱曰:「戶外風寒,汝必不肯出,倘先立戶外,我則以室中受用誘汝,汝必信矣。」湯信之,便出戶外立。謂朱曰:「汝安誘我入戶哉。」朱拍手笑曰:「我今誘汝出戶矣。」

新字:朱古民文学善謔,冬日在湯生斎中,湯曰:「汝素多智術,仮如今坐室中,能誘我出戸外乎。」朱曰:「戸外風寒,汝必不肯出,倘先立戸外,我則以室中受用誘汝,汝必信矣。」湯信之,便出戸外立。謂朱曰:「汝安誘我入戸哉。」朱拍手笑曰:「我今誘汝出戸矣。」

書き下し

朱古民は文学にして善く謔す、冬日に湯生の斎中に在り、湯曰く、「汝は素より智術多し、仮に今室中に坐して、能く我を誘いて戸外に出だすか」と。朱曰く、「戸外は風寒く、汝は必ず出ずるを肯んぜず、倘し先に戸外に立たば、我は則ち室中の受用を以て汝を誘わん、汝は必ず信ぜん」と。湯は之を信じ、便ち戸外に出でて立つ。朱に謂いて曰く、「汝は安んぞ我を誘いて戸に入らしめんや」と。朱は手を拍ちて笑いて曰く、「我は今汝を誘いて戸を出でしめたり」と。

現代語訳

朱古民は文才があり、冗談が上手であった。冬の日に湯生の書斎にいたとき、湯が言った。「君はもともと知恵の術が多い。仮に今、部屋の中に座っていて、私を誘って戸の外に出せるか。」朱は言った。「戸の外は風が冷たく、君はきっと出ようとはしないだろう。もし先に戸の外に立っていてくれれば、私は部屋の中の心地よさで君を誘おう。君はきっと信じるだろう。」湯はそれを信じて、すぐに戸の外へ出て立った。そして朱に言った。「君はどうやって私を誘って、戸の中に入らせるのか。」朱は手を叩いて笑って言った。「私はいま君を誘って、戸の外に出したよ。」

解説

相手の問いの前提をすり替えて、与えられた課題を、ひっくり返して達成する言葉の遊びです。誘って外に出せるかという問いに、外に立ってくれれば中へ誘うと言って、相手に外へ出る動きを取らせました。これは頓智の古典的な型で、似た話は日本の一休さんなどにも見られます。管理職や経営者にとって、課題や目標を与えられたとき、その枠組み自体を見直し、別の角度から達成できないかと考える柔軟性が参考になります。交渉でも、相手の出した条件の設定を言い換えて、自分に有利な土俵に移す工夫が役立つことがあります。ただし、これは軽い遊びの話であり、実務での乱用は信頼を損ねます。

この章句が説くこと

朱古民誘出戸外頓智説得判断言葉の力

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