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智囊 / 小慧・黠童子

一童子隨主人宦游。從縣中索騎,彼所值甚駑下。望後來人得駿馬,馳而來,手握韁繩,佯泣於馬上。後來問曰:「何泣也?」曰:「吾馬奔逸絕塵,深懼其泛駕而傷我也。」後來以為稚弱可信,意此馬更佳,乃下地與之易。童子既得馬,策而去,後來人乘馬,始悟其欺,追之不及。

新字:一童子随主人宦游。従県中索騎,彼所値甚駑下。望後来人得駿馬,馳而来,手握韁縄,佯泣於馬上。後来問曰:「何泣也?」曰:「吾馬奔逸絶塵,深懼其泛駕而傷我也。」後来以為稚弱可信,意此馬更佳,乃下地与之易。童子既得馬,策而去,後来人乗馬,始悟其欺,追之不及。

書き下し

一童子は主人に随いて宦游す。県中より騎を索むるに、彼の値する所は甚だ駑下なり。後来の人の駿馬を得て、馳せて来たるを望み、手に韁繩を握り、佯り馬上に泣く。後来の者は問いて曰く、「何ぞ泣くや」と。曰く、「吾が馬は奔逸して塵を絶す、深く其の泛駕して我を傷つけんことを懼る」と。後来の者は稚弱にして信ずべしと以い、此の馬の更に佳なるを意い、乃ち地に下りて之と易う。童子は既に馬を得て、策して去る、後来の人は馬に乗りて、始めて其の欺くを悟り、之を追うも及ばず。

現代語訳

一人の少年が主人に従って任地を旅していた。県の役所から乗り物の馬を求めたところ、あてがわれた馬はとても劣ったものだった。後ろから来る人が立派な馬を得て走って来るのを見て、少年は手に手綱を握り、馬上で泣くふりをした。後から来た人が尋ねた。「どうして泣いているのか。」少年は答えた。「私の馬は勢いよく走り出して塵を立てて止まらず、暴れて私を傷つけるのではないかと、ひどく恐れているのです。」後から来た人は、幼くて弱々しいので信じられると思い、またこの馬の方がよさそうだと考えて、馬から降りて交換した。少年は馬を手に入れると、鞭を入れて走り去った。後から来た人は馬に乗って初めて騙されたことに気づき、追ったが追いつけなかった。

解説

少年が、弱さと恐れを装って、相手に善意の交換を申し出させる話です。自分の馬を悪く言ったのでなく、逆に速すぎて怖いと言うことで、相手に優れた馬だと誤解させました。これは、欠点を長所の形で言い換える、うその巧妙な型です。相手の同情心と、得をしたい気持ちの両方を突いています。管理職や経営者は、取引で弱さを見せる相手が、実はこちらの善意を利用していないか注意が必要です。商品の説明で、短所が長所として語られていないか、第三者の目で確かめる姿勢も役に立ちます。同情で判断が鈍る場面ほど、実物を自分で確かめることが大切です。

この章句が説くこと

駿馬佯泣泛駕人を見抜く信用判断

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