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智囊 / 小慧・石韃子

吳中有石子,貌類胡,因呼為石韃子。善謔多智,嘗困倦,步至一邸舍,欲少憩,有一小樓頗潔,先為僧所據矣。石登樓窺之,僧方掩窗晝寢。窗隙中見兩樓相向,一少婦臨窗刺繡,石乃襲僧衣帽,微啟窗向婦而戲,婦怒,以告其夫,夫因與僧鬧,僧茫然莫辨,亟移去,而石安處焉。

新字:呉中有石子,貌類胡,因呼為石韃子。善謔多智,嘗困倦,歩至一邸舎,欲少憩,有一小楼頗潔,先為僧所拠矣。石登楼窺之,僧方掩窗昼寝。窗隙中見両楼相向,一少婦臨窗刺繍,石乃襲僧衣帽,微啓窗向婦而戯,婦怒,以告其夫,夫因与僧鬧,僧茫然莫弁,亟移去,而石安処焉。

書き下し

呉中に石子有り、貌は胡に類す、因りて呼びて石韃子と為す。善く謔し智多し、嘗て困倦し、歩して一邸舎に至り、少しく憩わんと欲す、一小楼の頗る潔き有るも、先に僧の据る所と為る。石は楼に登りて之を窺うに、僧は方に窓を掩いて昼寝す。窓隙の中より、両楼の相い向かうを見る、一少婦の窓に臨みて刺繍す、石は乃ち僧の衣帽を襲い、微かに窓を啓き婦に向かいて戯る、婦は怒り、以て其の夫に告ぐ、夫は因りて僧と鬧ぎ、僧は茫然として弁ずる莫く、亟やかに移り去り、而して石は安処す。

現代語訳

呉の地方に石という男がいた。顔つきが北方の異民族に似ていたので、石韃子と呼ばれていた。冗談が好きで知恵が働き、あるとき疲れ果てて、宿屋に歩いて着き、少し休もうとした。小さな二階の部屋がとても清潔だったが、すでに僧が泊まっていた。石は二階に登ってのぞいてみると、僧は窓を閉めて昼寝をしていた。窓のすき間から、向かい合った二つの建物が見え、一人の若い女が窓辺で刺繍をしていた。石は僧の衣と帽子をこっそり着て、窓を少し開けて女に向かってふざけた。女は怒って、夫に告げた。夫はそこで僧と争いになり、僧は訳が分からず弁明できず、急いで部屋を移った。そして石は落ち着いてその部屋に居座った。

解説

他人の姿を借りて騒ぎを起こし、その人を追い出して自分が得をするという、いたずらめいた悪知恵です。章の名のとおり小慧、つまり小さな賢さの範囲ですが、責任を他人に転嫁する点は倫理的に問題があり、手放しに評価できません。実際には、僧は何もしておらず、冤罪の被害者です。この話から管理職が読み取れるのは、組織内の対立や苦情が起きたときに、誰かが意図的に責任を押しつけ、その陰で利益を得ていないか、背景を見る視点です。表に出た当事者だけでなく、状況の変化で得をした人が誰かを確認すると、真相に近づくことがあります。

この章句が説くこと

石韃子僧衣帽窓人を見抜く責任転嫁判断

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