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智囊 / 小慧・孟陀

張讓在桓帝時,權傾中外。讓有監奴主家,扶風富人孟陀傾囊結奴。奴德之,問陀何欲,欲為成就。陀曰:「望汝曹為我一拜耳。」時公卿求謁讓者車每填門,陀一日詣讓,壅不得前。監奴望見,為率諸蒼頭迎拜於路,共輦入。時賓客大驚,謂讓厚陀,遂爭賂陀,旬日積資巨萬。〔評議〕無故而我結者,必有以用我矣。孟陀善賈,較呂不韋術更捷。

新字:張譲在桓帝時,権傾中外。譲有監奴主家,扶風富人孟陀傾嚢結奴。奴徳之,問陀何欲,欲為成就。陀曰:「望汝曹為我一拝耳。」時公卿求謁譲者車毎填門,陀一日詣譲,壅不得前。監奴望見,為率諸蒼頭迎拝於路,共輦入。時賓客大驚,謂譲厚陀,遂争賂陀,旬日積資巨万。〔評議〕無故而我結者,必有以用我矣。孟陀善賈,較呂不韋術更捷。

書き下し

張譲は桓帝の時に在りて、権は中外を傾く。譲に監奴の家を主る有り、扶風の富人孟陀は嚢を傾けて奴に結ぶ。奴は之に徳とし、陀に何を欲するかと問い、為に成就せんと欲す。陀曰く、「汝が曹の我の為に一たび拝せんことを望むのみ」と。時に公卿の譲に求謁する者の車は毎に門に填まる、陀は一日譲に詣るも、壅がれて前むを得ず。監奴は望み見て、為に諸蒼頭を率いて路に迎拝し、共に輦して入る。時に賓客は大いに驚き、譲の陀を厚くすと謂い、遂に争いて陀に賂い、旬日にして資を積むこと巨万なり。〔評議〕故無くして我に結ぶ者は、必ず以て我を用うる有らん。孟陀は善く賈し、呂不韋の術より更に捷し。

現代語訳

張譲は桓帝の時代に、中央も地方も傾けるほどの権勢を持っていた。張譲には家を取り仕切る下男頭がいた。扶風の富豪孟陀は、財を使い果たすほどに、その下男頭に取り入った。下男頭は感謝し、孟陀に何を望むかと尋ね、叶えてやろうとした。孟陀は言った。「あなた方に、私のために一度拝礼してもらいたいだけです。」当時、公卿で張譲に面会を求める者の車は、いつも門前に満ちていた。孟陀もある日張譲のもとへ行ったが、人が詰まって前に進めなかった。下男頭はそれを見つけ、孟陀のために多くの下男を率いて道端で出迎えて拝礼し、みなで車に乗せて邸内に入れた。そのとき居合わせた客たちは大いに驚き、張譲が孟陀を厚遇していると考え、競って孟陀に賄賂を贈った。十日ほどで、財産は巨万にたまった。〔評議〕理由もなく自分に取り入る者は、必ず自分を利用しようとしている。孟陀は商売がうまく、呂不韋の術よりもさらに素早かった。

解説

権力者の側近に一度だけ形を作らせて、周囲に権力者との親密さを見せかける孟陀の策です。実際に張譲から厚遇されたわけではなく、拝礼という見せ方だけで、周りの人々が勝手に価値を上乗せしました。人は評価の根拠よりも、周りの扱いを見て判断しがちだという心理を突いています。馮夢龍の評は、理由なく近づく者には必ず意図があると警告し、同時に孟陀の商才を認めています。管理職は、部下や取引先が演出する権威の見せ方に流されず、実際の関係と実績で判断する必要があります。自分が演出される側になった場合に、利用されないための距離の取り方を考えることも大切です。

この章句が説くこと

孟陀監奴迎拝人を見抜く信用人材登用

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