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智囊 / 小慧・周主・商太宰

周主亡玉簪,令吏求之,三日不能得也。周主令人求,而得之家人屋間。周主曰:「我知吏之不事事也。」於是吏皆悚懼,以為神明。商太宰使少庶子之市,顧反而問之曰:「何見於市?」曰:「無見也。」太宰曰:「雖然,何見?」對曰:「市南門之外,甚眾牛車,僅可以行耳。」太宰因誡使者:「毋敢告人吾所問於汝。」因召市吏而誚之曰:「市門之外,何多牛屎?」市吏甚怪太宰知之疾也,乃悚懼其所也。

新字:周主亡玉簪,令吏求之,三日不能得也。周主令人求,而得之家人屋間。周主曰:「我知吏之不事事也。」於是吏皆悚懼,以為神明。商太宰使少庶子之市,顧反而問之曰:「何見於市?」曰:「無見也。」太宰曰:「雖然,何見?」対曰:「市南門之外,甚衆牛車,僅可以行耳。」太宰因誡使者:「毋敢告人吾所問於汝。」因召市吏而誚之曰:「市門之外,何多牛屎?」市吏甚怪太宰知之疾也,乃悚懼其所也。

書き下し

周主は玉簪を亡い、吏をして之を求めしむ、三日にして得る能わざるなり。周主は人をして求めしめ、而して之を家人の屋間に得たり。周主曰く、「我は吏の事を事とせざるを知れり」と。是に於いて吏は皆な悚懼し、以て神明と為す。商の太宰は少庶子をして市に之かしめ、顧りて反るや之に問いて曰く、「市に何をか見し」と。曰く、「見る無きなり」と。太宰曰く、「然りと雖も、何をか見し」と。対えて曰く、「市の南門の外に、甚だ牛車の衆く、僅かに以て行くべきのみ」と。太宰は因りて使者を誡めて、「敢えて人に吾が汝に問う所を告ぐる毋れ」と。因りて市吏を召して之を誚めて曰く、「市門の外に、何ぞ牛屎の多き」と。市吏は太宰の之を知ること疾きを甚だ怪しみ、乃ち其の所に悚懼す。

現代語訳

周の君主は玉の簪をなくし、役人に捜させたが、三日たっても見つからなかった。君主は別の人に捜させ、簪を家人の部屋の間で見つけさせた。君主は言った。「私は役人が仕事をしていないことをよく知っているぞ。」これで役人たちはみな恐れかしこまり、君主を神のように明察だと考えた。商の太宰は、若い補佐役を市場へやり、戻って来たところで尋ねた。「市場で何を見たか。」「特に何も見ませんでした。」太宰は言った。「そうは言っても、何か見たであろう。」答えて言った。「市場の南門の外に牛車がたくさん並んでいて、ようやく通れるくらいでした。」太宰は使者にきつく命じた。「私がお前に尋ねたことを、決して人に話すな。」そして市場の役人を呼んで責めた。「市場の門の外に、どうして牛の糞がこんなに多いのだ。」市場の役人は、太宰がそれをこんなに早く知ったことを大いに怪しみ、自分の持ち場の仕事に恐れかしこまった。

解説

どちらも、上司が自分の見えない所まで知っていると部下に思わせて、緊張を作る手法の話です。周主は、役人が三日かけて見つけられなかった物を別の人に見つけさせ、怠慢を示しました。商の太宰は、使者に口止めして、自分だけが情報を得ていると見せかけています。部下を引き締める効果は確かにありますが、これは小賢しい術であり、章の名が小慧であるのも、小さな知恵にとどまるという含みでしょう。管理職は、情報源を隠して威圧するやり方が、短期的な規律にはなっても、信頼を築く方法ではないことを意識したいところです。現場の実情を自分の目や複数の経路で把握する努力は必要ですが、それを部下を驚かすための道具にしない節度も大切です。

この章句が説くこと

玉簪牛車市吏人材登用部下の統率小慧

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