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智囊 / 狡黠・江南士子

徽姪大喜,復飲食之,公子索酬如議而去,明日徽姪以文書付驛卒,此公子私從驛卒索文書自投,驛卒不與,公子言是偽封不可投。驛卒大驚,還責徽姪,急訪公子,故在寓也,反叱徽人用假批假印,欲行出首。徽人懼,復出數十金賂之始免。後訪知此棍慣假宦、假公子為騙局。時有春元謁見撫院,彼乘鬧混入,潛匿於土地堂中,眾不及察,遂掩門。渠預藏酒糕以燒酒制糕,食之醉飽,啖之,晚衙復乘鬧出,封筒印識皆預造藏於袖中者,小人行險僥倖至此,亦可謂神棍矣。

新字:徽姪大喜,復飲食之,公子索酬如議而去,明日徽姪以文書付駅卒,此公子私従駅卒索文書自投,駅卒不与,公子言是偽封不可投。駅卒大驚,還責徽姪,急訪公子,故在寓也,反叱徽人用仮批仮印,欲行出首。徽人懼,復出数十金賂之始免。後訪知此棍慣仮宦、仮公子為騙局。時有春元謁見撫院,彼乗鬧混入,潜匿於土地堂中,衆不及察,遂掩門。渠預蔵酒糕以焼酒制糕,食之酔飽,啖之,晩衙復乗鬧出,封筒印識皆預造蔵於袖中者,小人行険僥倖至此,亦可謂神棍矣。

書き下し

徽姪は大いに喜び、復た之に飲食せしめ、公子は酬を索めること議の如くして去る、明日、徽姪は文書を以て駅卒に付すに、此の公子は私かに駅卒に従いて文書を索めて自ら投ぜんとす、駅卒は与えず、公子は是れ偽封にして投ずべからずと言う。駅卒は大いに驚き、還りて徽姪を責む、急ぎ公子を訪ぬるに、故より寓に在り、反って徽人を叱りて仮の批、仮の印を用うと、出首せんと欲す。徽人は懼れ、復た数十金を出して之に賂い始めて免る。後に訪ね知る、此の棍は慣れて仮の宦、仮の公子を以て騙局を為すを。時に春元の撫院に謁見する有り、彼は鬧に乗じて混入し、潜かに土地堂の中に匿れ、衆は察するに及ばず、遂に門を掩う。渠は預め酒糕を蔵し、焼酒を以て糕を制し、之を食らいて酔飽し、之を啖い、晩衙に復た鬧に乗じて出ず、封筒印識は皆な預め造りて袖中に蔵する者なり、小人は険を行いて僥倖に此に至る、亦た神棍と謂うべし。

現代語訳

徽州の甥は大いに喜んで、さらに公子にご馳走をふるまい、公子は取り決めどおりの謝礼を受け取って去った。翌日、甥はその文書を駅の役人に託して送ろうとしたが、この公子は内々に駅の役人のところへ行き、文書を渡すよう求めて自分で届けようとした。駅の役人が渡さないと、公子は、これは偽の封で、届けてはならないと言った。駅の役人は大いに驚き、戻って甥を責めた。急いで公子を訪ねると、もともと宿にいて、逆に徽州の人を叱りつけ、偽の許可と偽の印を使ったと言って、役所に訴え出ようとした。徽州の人は恐れ、またもや数十金を贈ってやっと難を免れた。のちに調べて分かったことには、このならず者は、偽の官吏や偽の公子になりすまして人を騙すことに慣れていた。ちょうど春の試験の合格者が巡撫に謁見する日があり、彼は混雑に紛れて役所に入り込み、ひそかに土地神の祠に隠れた。人々は気づかず、やがて門が閉ざされた。彼はあらかじめ酒と菓子を用意しており、焼酎で菓子を作って食べ、酔って満腹になった。夕方の退庁時にまた混雑に紛れて出て来たのである。封筒や印の跡は、すべてあらかじめ作って袖に隠していたものだった。小人が危険を冒して幸運にもここまで至ったのは、まさに神業のならず者と言ってよい。

解説

前話の続きで、偽公子が自分の偽の封印を、さらに脅しの材料に使う点が見どころです。一度騙した相手から、二度目の金を取る周到さで、被害者を連鎖的に追い込みます。手口の核心は、役所が閉まるまで祠に隠れ、酒食まで用意した準備にあり、ここまで準備する詐欺師に、後から気づく側が勝つのは難しいと感じさせます。馮夢龍はこれを神棍、つまり神業のような悪党と評しました。管理職や経営者は、権限者との縁を売り込む人物に出会ったとき、本人の動きだけでなく、結果の確認を第三者の経路でできるかを考えたいものです。成果を先に見せる者ほど、確認の経路を自分に握ろうとするため、そこに警戒の目を向けたいところです。

この章句が説くこと

偽封神棍土地堂危機管理信用人を見抜く

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